香川県が17日、2月定例県議会に提案した2025年度当初予算案には「船の体育館」こと旧県立体育館の解体などの費用も盛り込まれました。会見で池田知事は「やむなく解体を判断した」と述べ、3D技術などを使って建物の記録保存に取り組む考えを改めて示しました。
(香川県/池田豊人 知事[2月6日の当初予算案発表会見])
「今の建物の傷み具合、地震に対する脆弱性、こういうものと、利用に対してのニーズ。今の状況においてはやむなく解体という判断をさせてもらっております」
予算計上されたのは、旧香川県立体育館の解体工事費10億900万円(2027年度までの債務負担行為を含む)と、着工前に周辺家屋などへの影響を調べるための費用1900万円です。
世界的な建築家、丹下健三が設計した旧県立体育館は、老朽化のため2014年に閉館。2023年、県が解体する方針を示し、工事の方法や費用などを探っていました。
これに対し、地元の建築家らは解体費用が明らかになったタイミングで、有識者や県民も交えて改めて活用策がないか検討すべきだと訴えています。
(記者)
「同じ税金を使うのであれば、残す方向で改めて検討するということはないんでしょうか?」
(香川県/池田豊人 知事)
「新しいものがあれば、認識する話としてですね、当然考えないといけないということはあるかもわかりませんけれども、今の現状においてはもう一度(検討を)やるということは考えていません」
県は、貴重な建築物の記録を後世に残すため、当初予算案に、解体前と解体中に動画撮影や3D測量などを行う費用として4年間で6000万円を盛り込みました。
石川県観光連盟は明治、大正時代に建てられた「レトロ建築」を紹介するデジタルコンテンツをホームページで公開しています。VR(仮想現実)の技術を使って建物の外観や内観を好きな角度から見ることができます。
岐阜県羽島市や徳島県鳴門市など、解体する旧庁舎の記録をデジタル技術で保存する取り組みも増えています。
(香川県/池田豊人 知事)
「最新の技術で、建物自身は物理的にはなくなっても今の建物ができるだけリアルに体感できるような、そういう(記録)保存を考えていきたい」
一方で、香川県の強みであるアートと建築をつなぐ新たな観光コンテンツを作ろうと県内の美術館や名建築を巡るバスツアー事業などとして800万円を当初予算案に計上しています。
(香川県/池田豊人 知事)
「多くの世界的にも評価された建築物が香川にはある。これをちゃんと守っていかないといけないし、それを生かした誘客も進めていかなければいけない、そういう認識でいます」