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【解説】成人の1.7%にギャンブル依存症の疑い…なぜ依存症に? 専門家「誰でもなり得る病気」 岡山

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 5月14日~20日までは「ギャンブル等依存症問題啓発週間」です。
 厚生労働省によりますと、2023年度の実態調査で、成人の1.7%にギャンブル依存症の疑いがあったことが分かりました。
 岡山県は、このデータなどから県内に依存症が疑われる人は約2万4000人いると推計しています。
 なぜ依存症になるのか、どうやって回復すればいいのか。当事者の声から考えます。

きっかけは友達からの誘い

(ギャンブル依存症になった男性)
「最後の方は借金を返すためにギャンブルをしなきゃいけないっていう強い思いになってしまっていたので。本当に狂っているなって今では思いますけど、その当時はそうしないと正常でいられなかった」

 赤磐市の34歳の男性。12年前にパチンコやパチスロを始め、その後、ギャンブル依存症になりました。

(ギャンブル依存症になった男性)
「友達から誘ってもらってっていうのが(始めた)一番のきっかけになります。そこでいわゆるビギナーズラックというもので5万円か6万円ぐらいその日に勝って。あ、こんなに楽しくてお金稼げるものがあるんだと」

 最初は週に2~3回でしたが、だんだん回数が増え、仕事を休んでまでパチンコ店に行くようになりました。

 お金がなくなると家族にうそをついて出してもらったり、家のお金を勝手に使ったりしました。200~300万円の借金も2回しました。

(ギャンブル依存症になった男性)
「勝てばいい。勝てさえすれば何とかなるみたいに思っていたので。お金のためだったら犯罪まがいのことまでしちゃう。依存症だろうなとは思っていたんですけど、やっぱりそれを認めたくなかったですし、まだ自分の力で何とかなると思っていたので」

 男性の妻は、ギャンブル依存症について全く気付かなかったと話します。

(男性の妻)
「様子がおかしいっていう感じは全くなくて。朝もちゃんと行ってきますって言って仕事も行くし、全然普段と違うみたいな感じは全くなくて」

ギャンブル依存症は「周りから見ても分からない」

(岡山県精神科医療センター/橋本望 医師)
「酒とか薬物ではないので周りから見ても分からないんですよね。毎日ギャンブルをしていても家族が気付かない。それが1年、2年、年単位で隠し通せてしまう」

 男性は現在、ギャンブルから離れた生活を送っています。転機となったのは2023年8月に参加した相談会です。「今の生活が苦しい」と思ったのが参加の理由でした。

(ギャンブル依存症になった男性)
「家族にもうそついている状況だったので、お金の問題もあったんですけど、もうその生活に耐えられなくなって」

 男性は相談会に行った後、自助グループに参加するようになり病院に1年間、入院もしました。今はギャンブルと距離をとって暮らしています。

(ギャンブル依存症になった男性)
「もうあんな思いをするのは嫌だっていう気持ちが強いので、今のところギャンブルしたいなっていう衝動が、やめた日からきたことはないですね。本当のことが言えない、あとはやっぱり自分の力で何とかしようと思ってしまっていた。そういうところが今では起因していたのかなというふうには思います」

専門家「誰でもなり得る病気」

 岡山県精神科医療センターの橋本医師は「ギャンブル依存症は誰でもなり得る病気だ」と話します。

 そして、「依存する要因は複雑だ」とした上で、「ギャンブルを始める年齢が早いほどはまりやすい」「ギャンブル以外に楽しみがない人や他の精神疾患がある人はリスクが高まる」などとしています。

 岡山県は、ギャンブル依存症への対策を進めるための計画を2025年7月に策定する予定です。

 では、依存症になった場合はどうすればいいのか。大事なことの一つは「人とのつながり」です。

(参加者は―)
「何も楽しくないし人生、と思っていて。自殺をしようと思ったんですけど結局できなくて」
「借金をしてしまって。そのことを誰にも言えずにずっとズルズルいっていて」

 岡山市で開かれたギャンブル依存症の相談会。当事者が集まって依存症への知識を深めたり悩みを相談したりします。ギャンブルをやめることができている参加者はその経験を他の人に伝えます。

(参加者)
「借金って0にすることは全ていいのかっていうとそうでもないんですよ。何でかっていうと、借金があったほうが向き合い続けられる」

 参加者の中には、赤磐市の男性の姿もありました。

(ギャンブル依存症になった男性)
「妻がどう思っていたか分からないんですけど、『回復してほしい』っていう言葉を自分にかけてくれて。その言葉を聞いて初めて自分が本当に変わらなきゃいけないんだなっていうのを感じられた気がします。僕らはどうしても1人でため込みがちというか抱え込みがちなので、そういうのを少しずつミーティングの場で話をして、気持ちを分かってもらったり自分がその人たちの気持ちを分かってあげるっていうのがすごく重要かと思っています」

まずは誰かに相談を

 別の部屋では当事者の家族が集まっていました。家族にとっても悩みを打ち明けられる場所が必要です。

(男性の妻)
「隠したいし、誰にも知られたくなかったんですけど、つながってからは正しい知識と正しい対応を学ぶことができたので、私にとっては本当に大切な場です」

(岡山県精神科医療センター/橋本望 医師)
「ギャンブルからどのように回復していったか、そういう話をいっぱい聞くということですね。少しずつギャンブルをやめるための考え方とか方法を身につけて日々実践していく中でギャンブルのない生活が身についていきますので、本当に諦めずに回復するまで取り組み続ける、これが大事だと思います」

 今回紹介した相談会は「公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会」と「NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会」が開いたものです。他にも各地域での自助グループもありますし、もちろん医療機関もあります。依存症の問題に直面したらとにかく、まずは誰かに相談してほしいと思います。

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