岡山大学学術研究院医歯薬学学域・消化器外科学分野の藤原俊義教授らが研究を進めてきた抗がんウイルス製剤「テロメライシン」の食道がんに対する局所効果が明らかになったとして、岡山大発バイオベンチャーのオンコリスバイオファーマが12月15日に医薬品製造販売の承認申請を行いました。
テロメライシンは、風邪のウイルスの一種である「アデノウイルス」の遺伝子を改変したウイルス製剤です。がん細胞に感染すると1日で10万~100万倍に増え、がん細胞を破壊する一方、正常な細胞では増殖しません。
岡山大学は2013年からテロメライシンと放射線治療を併用した臨床研究を始め、2020年からは全国17施設で安全性などを確認する臨床試験を行ってきました。37人の患者に6週間の放射線治療の間に3回投与したところ、6カ月で41.7%、1年6カ月で50%のがんが消失したということです。
藤原教授は「長らく開発してきた抗がんウイルス製剤を申請でき、うれしく思います。低侵襲で優しい治療薬として患者に届くことを願っています」と話しています。
テロメライシンの販売は、富士フイルム富山化学が行う予定です。