岡山大学は、2027年度以降に入学した学生の年間授業料を引き上げる方針案を示していて、6月中に結論が出る見通しです。その背景と妥当性を探りました。
(岡山大学/那須保友 学長)
「今後、岡山大学はどうあるべきかと。適切な授業料というものを算出したということで、その結果、引き上げになっている」
2026年3月、岡山大学の那須保友学長が、2027年度の入学生から年間授業料を引き上げる方針案を明らかにしました。
現在は53万5800円。方針案では、国内の学生は1.2倍の64万2960円に、留学生は2.5倍の133万9500円にするとしています。授業料を引き上げれば2005年度以来、22年ぶりとなります。
(岡山県出身の学生)
「せっかく国立を志望するのに授業料って結構大事かなと思うので。他県からの志望理由としては薄くなるのかなと思います。(授業料に)差が出ちゃうと」
(佐賀県出身の学生)
「親の負担とかも増えるからちょっと嫌です」
(学生)
「(大学は)設備とかにお金もかかるし、物価高でかかる費用も上がるのなら仕方ないのかな」
(ドイツからの留学生)
「(留学生は)生活について難しくなるかもしれません。他の大学に行くのはもっと簡単」
留学生は2.5倍…国内最高額に
国立大学の授業料は、国が標準額を示し、その1.2倍を上限に各大学で決めることができます。留学生については2024年度に上限が撤廃されました。
岡山大学は、増収分は実習設備の充実や留学生に24時間対応するサポートセンターの新設などに充てたいとしていて、受益者負担の観点から留学生の上げ幅が大きいと説明しています。
(岡山大学/那須保友 学長)
「研究のレベルも高い、留学生に対するサポートも素晴らしい、そういう大学だというブランドをつくって海外から優秀な学生を呼び込む戦略」
国立大学の授業料引き上げは全国的に広がりを見せています。
文部科学省によりますと、2019年度から2025年度までに東京大学や一橋大学など7校が、2026年度は山口大学や名古屋工業大学など4校が引き上げました。
留学生については、東北大学と筑波大学が2027年度からの引き上げを決めていて、東北大学が90万円に、筑波大学が60万8800円になります。
岡山大学が133万9500円に引き上げれば国立大学で国内最高額になります。
専門家「留学生減少を懸念」
大学の授業料に詳しい専門家は「低所得層への配慮が必要」とした上で、引き上げに理解を示します。
(桜美林大学 教育探究科学群/小林雅之 特任教授)
「最近の物価上昇とかを考えるとやむを得ない。(国立大学は)教員が定年で辞めた場合にそこを補充せずに非常勤講師で埋めたりとか、そういうような努力を重ねてきたわけです。そういう形でコスト削減をしてきましたが、それももう限界に来ているということです」
一方で、留学生の上げ幅が大きいことについては懸念があると指摘します。
(桜美林大学 教育探究科学群/小林雅之 特任教授)
「多様性を確保するというのも国立大学の大きなミッションですので、留学生が減少するということは懸念されます。留学生に対して合理的な説明ができるかどうかということがやはり一番重要で、その授業料に対して納得してもらう、そして来てもらうということが必要だろうと思っています」
岡山大学は、優秀な学生に対する給付型奨学金の創設などで対応したい考えを示しています。
市民団体「進学できない人が出てくる」
5月11日、岡山大学の野田隆三郎名誉教授が代表を務める市民団体が大学を訪れました。
そして、授業料引き上げの方針案の撤回を求める要望書を提出。「学生や保護者の負担が増え、進学できない人が出てくる」などと主張しました。
(大学の学費値上げに反対する市民の会/野田隆三郎 代表)
「国に対してもっと金を出せと言うべきであって、学生や保護者に負担をかけるというのは間違っているでしょう」
岡山大学が方針案の発表後に行った大学内外の関係者との意見交換では、賛否両論があったということです。
(岡山大学/那須保友 学長)
「授業料適正化をするかしないか、するとしたらどういう形でするかとかいうことをもう一回考え直している。結論ありきではなくて、やはり皆さんの意見を細かく聞いて、そこでより良いものを作っていきたい」
岡山大学は、6月24日の役員らによる会議で最終決定することを目指すとしています。
(2026年6月18日放送「News Park KSB」より)