高額療養費制度について石破茂総理大臣は、8月の負担上限額の引き上げを見送ったうえで、秋までに改めて方針を決定すると表明しました。突然の方針転換に与野党から批判の声が上がっています。
■高額療養費引き上げ“凍結”
石破総理 「本年8月に予定されております定率改定を含めて見直し全体について、その実施を見合わせる決断をいたしました。今年秋までに改めて方針を検討し決定することといたします」
医療費が高額になった患者の自己負担を抑える高額療養費制度。負担上限額の引き上げについて、政府はこれまで来年8月以降は再検討するものの、今年8月からの引き上げは行う方針を示していました。しかし、7日、事態は一転。今年8月の引き上げについても見合わせると表明したのです。
7日に行われた参議院予算委員会では。
立憲民主党 杉尾秀哉議員 「『政府与党の中でも見直すしかない』『今度の参議院選挙を戦えない』こういう声が湧いてきたから見直さざるを得ないと、こういうことじゃないですか」
石破総理 「すべての面でのいろんな要素を考慮して決めるものでございます。選挙目当てとかそういうことではございません」
その後、当事者であるがんや難病の患者団体と面談した石破総理。患者団体が渡したのは、患者や家族のアンケートと13万筆以上の反対署名です。
石破総理 「皆様方のアンケートを受け取らせていただくということで、本日の機会を設けさせていただいた」
全国がん患者団体連合会 天野慎介理事長 「総理は国会で『一番苦しい方の意見を聞かずして制度を決めることはない』と。私たちもまさにその気持ちです。ぜひ負担に苦しむ患者・家族の声を聞いて頂いて、いったん全面凍結。いったん立ち止まって命のために再検討をお願いしたい」
会談後、石破総理は負担上限額の引き上げ見送りを表明しました。
石破総理 「患者団体の皆様にご理解をいただけない理由の一つとして、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いたとのご指摘をいただいていることを政府として重く受け止めねばならない」
■突然の方針転換 与野党から批判の声
引き上げの全面凍結を求め続けてきた立憲民主党の野田佳彦代表は、こう述べました。
野田代表 「残念ながら一番の当事者である患者団体の声を聞かないで決めてしまったし、その上げ幅が相当、急激すぎますしね。皆で戦ってきた成果だと思いますので、良かったというふうに思います」
国民民主党の玉木雄一郎代表はSNSで痛烈に批判しました。
玉木代表(Xから) 「決断が遅いしブレまくり。見送るなら、衆議院での予算審議をやり直せ。石破内閣は国会をなめている。ガバナンスが滅茶苦茶だ」
高額療養費制度について参議院で審議入りした直後の方針転換。自民党の関係者からは、次のような声が聞かれました。
自民党 ベテラン議員 「党内からの反発の声があって立っていられなくなったってことだろう」
自民党 中堅議員 「衆議院を通すためには野党の案をのむしかない。参議院に送ったら今度は選挙を控えているから『こんなの選挙前にやらないでくれ』と身内から抵抗勢力になる。これが少数与党なんだろう」
(「グッド!モーニング」2025年3月8日放送分より)