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愛媛・岡山で山火事 緊迫の消火活動 住宅地に迫る火の手 高齢者避難の現実

社会

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 愛媛県今治市と岡山市で発生した大規模な山火事ですが、現在も燃え広がっています。今治市では、火が住宅の近く迫っている所もあります。避難指示エリアも拡大しています。

■住宅地に迫る火の手

 愛媛県今治市では24日、火の勢いは衰えることなく被害は拡大していました。

 午後5時半ごろ、住宅地に近い山の頂ではオレンジ色の激しい炎が上がっています。

 そのわずか1時間後…山頂付近を覆うのは白い煙。炎は中腹まで広がり、住宅地に火の手が迫っています。

 ふもとから見上げると、吹き上がる炎がすぐそこまで…。

 鉄塔の足元でもオレンジ色の炎が激しく燃え上がり、15秒ほどで鉄塔は見えなくなってしまいました。

 木々の枝や葉はすでに燃えてなくなり真っ黒に焦げた太い幹が残るだけです。

 24日は消防と自衛隊のヘリ合わせて4機、160人以上の消防隊員によって空と地上からの消火活動が続けられました。

 山のふもとに降り注いだのは真っ黒な灰。取材スタッフの洋服やタクシーのボンネットにも灰が飛んできていました。

 こちらの住宅でも…。

近隣住民 「(Q.すごい灰が)飛んでる、飛んでる。すごい。ビニール(ハウス)に火が移ったらいかんと思って心配しているんだけど、ビニール(ハウス)も真っ黒になった。少しの間で」

 家庭菜園のビニールハウスでサツマイモの苗を育てているという男性。そのインタビュー中…。

近隣住民 「(雨)降ってきた。もっと降ってきてくれたら良いんだけど。ええ雨じゃのう。雨はありがたいもんじゃの。これでもだいぶ違うで」

 しかし喜びもつかの間、しっかりとした雨はわずか10分ほどでやんでしまいました。

近隣住民 「(朝は)鎮火していたんだけどある程度ね。やっぱり風がきついから舞い上がるね」 「(Q.ちょっと火の勢いが強くなった)そうですね」

 風であおられ燃え広がる山火事。この光景に17年前を思い出すと言います。

近隣住民 「2008年に大火事があった。1週間ぐらい燃えたかな。向こう側にわたって朝倉という地区なんですけど。それ以来ですね、この山火事は」

 今治市では2008年に大規模な山火事が発生。住宅への延焼はありませんでしたが、107ヘクタールが焼け、およそ90人が自主避難。鎮火までに6日かかりました。

 今回、23日の山火事発生から火の勢いは衰えず、61ヘクタールだった焼失面積も13時間ほどで145ヘクタールまで拡大。1345世帯2585人に避難指示が出ています。

■避難所では、不安の声も…

 避難指示の出ている長沢地区では、紙袋を抱えた男性の姿がありました。

近隣住民 「兄弟の家に連れていく、危ないから。年寄りだからね」

 高齢な親族の避難を手伝う男性が手にしていたのは紙袋いっぱいの洋服。それから…。

近隣住民 「(Q.それなんですか?)食べ物をね」

 フルーツも一緒に積み込みます。

 緊急車両が通り過ぎる横で慌ただしく進む準備。男性は、親族3人と犬とともに避難先の兄弟の家に向かいます。

 避難所では、不安の声が上がりました。

避難住民 「ベッドと毛布用意してくれたんですけど、心配でなかなか寝られないですね。急いでいるものだけ車に詰め込んで、急いで出てきたという形ですね。早く帰りたいし、これ以上燃え広がらないようにそれを祈るばかりですね」

 今治市と隣接する西条市にも、白い煙が迫ります。

休暇村瀬戸内東予 谷本茂樹副支配人 「山から風向きによっては煙や火が夜になると見えたりしてます。ちょっと不安になるような状況です」

 山火事の現場から直線でおよそ1.5キロ離れたホテル。通常通り営業していますが、早くも山火事の影響が…。

谷本副支配人 「きのうは満室でしたが、きょうになって朝キャンセルをする方がいました。お客様も不安なことあると思うので、しっかりと不明な点は伝えるようにしています。例えば避難所、緊急な場合は避難所への誘導。そういったものは、ちゃんと説明はさせていただきます」

■「燃やすわけにはいかない」神社を守る地元の消防団

 一方、同じく23日から大規模な山火事が続く岡山市。木々が焼け落ち、山肌はすすだらけになっています。山の複数個所から立ち上る煙。町一帯が白い煙で包まれました。

 岡山市によると、この山火事で南区と玉野市の一部合わせて約250ヘクタールが消失。

 火の猛威はすさまじく、手前の山はすべて焼け焦げて、黒い岩山のようになっています。

 まるで火山のように真っ黒になってしまった山。一部の残された木々からは、うっすらと白い煙が上っています。

 消防への通報から24時間が経った24日も、対岸からも分かるほど激しく炎が燃え上がるなか、消火活動を行っていました。

 ヘリコプターの姿が見えなくなるほど濃い煙。地上では、被害が拡大しないよう予防的放水をする地元の消防団の姿がありました。

岡山市消防団 甲浦分団 小泉晶浩さん(42) 「延焼を防ぐために、周りに水かけてやってます。きのうの昼3時くらいから出動して、夜通しで交代しながら、ここまで激しいの初めてですね」

 地元の消防団が守ろうとしているのは、地元で大切にされている神社です。

小泉さん 「(Q.地元の方にとって神社は)大事な場所なんで、燃やすわけにはいかないなと」

 しかし、火が迫ってきました。

消防団員 「もう来るで!!」

 現場は一気に緊迫。辺りは木々が大きく揺れ、強い風が吹いているのが分かります。

 神社の風上にある山では…。

 雨をものともせず、木々の隙間からオレンジの炎が上がり、風で揺らめいています。そこから100メートルほど先では、消火活動を行っていた消防隊員が山から下りてきました。

 消防隊員が集合しミーティングをしていると、みるみるうちに風下である手前に炎が近づいてきます。

消防隊員 「一気に燃え広がっていくような状態になるので、これは放っておけない」

 ヘリでの空中消火を要請することにしました。

■避難指示解除…自宅戻るも「疲れ果てた」

娘の家に避難 近隣住民 「きのう(23日)のほうが、すごかったですよ。その辺り真っ赤だから」

 娘の家に避難し、一時的に薬を取りに帰ってきたという住民。

娘の家に避難 近隣住民 「(23日午後)9時ぐらいかな」 「(Q.着の身着のまま?)そうそう。(最初は)遠くだったから、火元が。風の具合でこっち飛んできたんよ。もう、いま真っ黒になっているが、全部燃えていたんよ。無事に早く我が家で眠りたいわ」

 消火活動の結果、岡山市の災害対策本部は午後4時時点で「小康状態」と発表。住宅への延焼の危険が低くなったとして、24日午後5時半に避難指示を解除しました。

 24日午後6時半。娘の家に避難していた住民が、自宅に帰ってきました。

娘の家に避難 近隣住民 「解除なったよっていうから、それじゃ帰ってみようかって」 「(Q.よかったですね)疲れ果てとる」

 一方、不安を抱えたままの住民も…。

近隣住民 「避難解除が出たんですよ。それで(自宅に)帰ってきたらね、今そこからぽーっぽと火の赤いのが見えたんですよ。あいたとこから見えるんですよ。ぱっぱとね。これ大丈夫かしらと思って。本当に解除になったんだろうかと思ってね」

 自宅から火が見え、心配で見に来たといいます。

近隣住民 「(Q.見える。赤い火が)ぱっぱっとね。それが見えたもんだから、ちょっと心配になって。家のほうへおって、様子見ながらね。 熟睡はできませんけどね」

 小康状態とは言え、岡山市の山火事が収まったわけではありません。

 住民の不安が払拭されるのは、一体いつになるのでしょうか?

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年3月25日放送分より)

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