SNSで集めたメンバーで犯罪を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」による事件が増加の一途をたどっていることなどを受け、警察庁は、警視庁の組織改編を含め、体制を強化することを明らかにしました。
警察庁によりますと、「匿名・流動型犯罪グループ」いわゆる「トクリュウ」の代表的な犯罪とみられている特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、不正送金事件などの被害額は去年1年間で過去最悪のおよそ2600億円に上っていて、今年に入っても深刻な状態が続いています。
また、去年各地で発生した闇バイト強盗などから全国警察ではトクリュウ対策の強化が求められています。
警視庁などによりますと、今回の組織改編では2003年に設立され、暴力団や薬物などの捜査を行っていた「組織犯罪対策部」と「刑事部」を統合し、統合後の新「刑事部」に新しく「特別捜査課」を設置します。
この「特別捜査課」は450人以上で構成され、特殊詐欺を中核にトクリュウが関与する事件などを柔軟に担当します。
この改編により、トクリュウが関わる特殊詐欺や強盗マネーロンダリング、背後に潜む暴力団の取り締まり、海外の特殊詐欺の拠点捜査などを1つの部署で一元的に捜査することが可能になるということです。
さらに、現在60人ほどで構成された「特殊詐欺対策本部」を改編し警視庁の副総監を本部長とする「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」を新設し、規模も倍以上の140人とします。
この部署は各部門から関連情報を集約するとともに、情報分析機能を強化してターゲットの選定、戦略立案、各部の調整などを行い、トクリュウ捜査の司令塔的な役割を果たすということです。
全国警察を統括する警察庁は、46道府県の警察から2度に分けて合わせて200人ほどをこの「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」派遣させ、首都警察の警視庁を中心にトクリュウ対策を強化します。
さらに、警察庁内にも「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」(仮称)を設置し、警視庁と緊密に連携しながら、実行役だけではなくグループの中核的人物の実態を解明し、違法なビジネスモデルを解体するために必要な体制を構築して、取り締まりを推進していくとしています。
警視庁は、これらの組織改編を目指して条例案を提出する予定で、警察庁も今秋の「分析室」の発足を目指し調整していくとしています。