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小泉大臣 国交省に輸送協力を要請 備蓄米“検討”の精米店秘策は?

政治

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 コメ政策を巡り、野党の党首クラスが小泉農林水産大臣(44)を追及する「異例の展開」。こうしたなか、備蓄米をどう消費者に受け入れてもらうのか。番組が取材した精米店には“秘策”が。

■小泉大臣VS野党 コメめぐり論戦

小泉進次郎農水大臣 「(Q.この1週間いかがでしたか?)激動ですね」

 農水大臣に就任して1週間。28日に開かれた農林水産委員会には、野党3党の党首クラスが勢ぞろいする“異例の光景”に。

 その矛先は小泉進次郎新農水大臣に向けられました。

立憲民主党 野田佳彦代表(68) 「委員会で相まみえるのは2回目ですね。その時は東日本大震災の復興について、現地現場に行った的確な質問をされた」

小泉進次郎農水大臣 「14年前の委員会の質問もご記憶いただいているということを大変、恐縮で、ありがたく存じます」

 まず口火を切ったのは立憲民主党・野田代表。小泉大臣の政策、大手小売業者などに売り渡す随意契約では備蓄米を2000円台で販売するとしています。これが適正価格なのか、火花が散ります。

立憲民主党 野田佳彦代表 「農水大臣就任されてから2000円程度と3000円でも驚きましたけれども、2000円と数字を明確にされたということなんです。バナナのたたき売りじゃないので気合は分かるんですけど、それが適正価格かどうかということなんですね」

小泉進次郎農水大臣 「今の様々な物価や資材の高騰や人件費の高騰などを踏まえたら、この2000円が生産者にとっての適正ではないと思います。しかし今回、我々、備蓄米を古い備蓄米を出しますので、この古い備蓄米を卸していく価格としては、私は適正だと思います」

 そして、国民民主・玉木代表(56)が動きます。

国民民主党 玉木雄一郎代表 「小泉大臣、お久しぶりです。まず備蓄米、大人気ですね。この備蓄米、受け付けをいったん終了される、それぐらいの引きが来ているということですが、足りなくなったらどうするんでしょうか。これだけなくなってしまうと、もとの100万トンの水準にいつ戻されるのでしょうか」

 約90万トンあった政府の備蓄米は、すでに31万トンが入札で、20万トンが大手スーパーと随意契約。残りは40万トンほどです。

小泉進次郎農水大臣 「備蓄米をすべて売り渡した後に、大凶作等の事態が発生した場合は国民が最低限必要とする食糧の供給について国が保有するミニマムアクセス米も活用可能」

 「ミニマム・アクセス米」とは毎年、関税なしでタイやアメリカから輸入している海外米約77万トンのことです。これを将来の備蓄米に活用する可能性も示唆しました。

■「転売」リスクについて

 懸念はまだ続きます。日本維新の会・前原代表(63)は「転売」のリスクを追及。

日本維新の会 前原誠司共同代表 「(備蓄米が)全国民に行き渡るのかどうなのか。一部の人に行き渡り、そして一部が転売に回り、高値を付けて、ゆがんだ形で市場に回る。こういう危険性があるのではないか」

小泉進次郎農水大臣 「その懸念も出ていると思いますので、転売をしないようにということもちゃんと付したうえでの売り渡しをしたい。その対応についてどのような手段を講じることができるか、様々な検討が必要だと思っている」

 永田町では…。

自民党関係者 「進次郎が自民党の旧態依然とした族議員とJAに立ち向かうヒーローとなれるかどうか。小泉元総理が郵政に仕掛けたことと同じことができるかどうかだ」 「ただ安ければいいという問題ではない。農家は3000円台で利益を得てありがたいと言っている人もいるくらいだ。ただ安くして、たたき売りということにならないか心配している」

■備蓄米 中小スーパーでも販売へ

 新米に向けた準備が進む茨城県の農家。作業の手を止めて国会の攻防を生産者も見守っていました。気になるのはコメの価格です。

国民民主党 玉木雄一郎代表 「総理が言った3000円台というのは小泉大臣も3000円台と同じ意味で思っていますか」

小泉進次郎農水大臣 「これは日本が今、成長軌道にようやく物価と賃金が上がってくる中で、ずっと3000円台だったら日本経済にとってよくないと思う。まず今4200円になっているものを3000円台に落ち着かせていかなければいけないという、そういった総理の想いだと思います」

 農家は3000円台に落ち着かせるという政府の見解について、どう思っているのでしょうか。

ゆうゆう農園 山田浩之代表 「平均4220円という金額は農家としては高すぎる。4000円台での高値が続いた場合、主食のコメを作る人の量が増える。高ければ新規需要米や飼料米を作っているより、そっち(主食)のコメの方が利益が確保できるとなれば、皆こぞってそっちを作っていくと、需要と供給のバランスが崩れてコメが余ったら値が下がる。3500円で消費者に渡ると考えたら、適正価格くらいじゃないか」

■備蓄米 随意契約へ

 そして、備蓄米に新たな動きが…。

小泉進次郎農水大臣 「中小のスーパーに対象を広げる形で、すみずみまで備蓄米が届いていくように頑張っていきたいと思います」

 備蓄米の随意契約は30日にも中小規模のスーパーや精米店に拡大。販売価格は、さらに下がります。

小泉進次郎農水大臣 「令和3年(2021年)産米になりますので、価格はさらに下がって、5キロで1800円程度」

 備蓄米の随意契約は27日夜の時点で大手小売業者など約70社から申し込みがあり、20万トンに到達する見込みだといいます。

 そのため、申し込みを休止して残った2021年産の、いわゆる「古古古米」については対象を中小規模のスーパーや精米店に変更するとしています。

■備蓄米参加検討の精米店 その秘策は?

 その一方で…。

 向かったのは横浜市の精米店です。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「(Q.備蓄米を中小店に広げることについて?)それはありがたい話。私どもみたいな小さなお米屋でも、分けていただけるなら検討したい。安いコメを求めているお客様がたくさんいらっしゃいます」

 店は備蓄米を玄米で仕入れることを前向きに検討しています。希望する量は1トン。大量ですが、店の倉庫へ行くと…。

 コメの量は例年の1割ほどだといいます。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「(通常)この店だけでも50品種、50銘柄置いているが、見ての通り(銘柄が)1桁のような状態。“中米”という普段、お客様の口に入らない(規格外の)コメまでも量り売りをしている。(備蓄米を)5キロで2000円以内と売る形でできるならば最高」

■懸念点は「味」

 懸念していることもあります。その理由は“味”です。新たに精米店や小売りに随意契約される備蓄米は2021年産。いわゆる“古古古米”です。

 仕入れても客に本当に受け入れられるのか。不安も見せます。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「私自身も3年ほど前のコメを食べたことがある。やっぱり古米臭といって、油が酸化したような臭いがする。あと水分が抜け落ちているので、パサつきを感じやすい。できるのなら、最初に試食できる機会を設けていただけるのが最高に良い」

 いい面もあります。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「精米量り売り、その場でできるというのは利点」

 米店ならではの強みが精米機を使ってその場で精米し、量り売りできること。袋詰めの負担も少なく、紙袋で渡すスタイルを考えています。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「私どもは説明をしながら販売できるので、例えば1、2割くらいもち米とかを入れて召し上がっていただくと(古古古米でも)バランスが取れたお米が出来上がると思う」

 最後に気になったのは輸送面の話です。

農家産直米すえひろ 荒金一仁代表 「30キロの袋で来るのか、そうすると配送途中で破れてしまうこともある。丁寧に、このようにビニール袋を入れてきてもらうとありがたい」

 その輸送ついて動きがありました。小泉大臣は28日、大手業者と随意契約した備蓄米の運搬について国土交通大臣に要請。購入した業者への輸送コストを国が負担するとしました。   小泉進次郎農水大臣 「今回は農水省で経費を負担させていただきます。ある意味、今、随意契約で作っているルートは今までが一般道だとすると、これは高速道路を作っている。この高速道路でどんどん(備蓄米を)流していきたい。しかも高速道路なのに安いわけですから。こういった形でご協力をいただくのが一番、分かりやすいのではないか」

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