群馬県の妙義山で8日に発生した山火事は、通報から半日以上が経っても延焼を続けています。群馬県は自衛隊に災害派遣を要請しました。
■発生から半日以上 勢い衰えず
火災現場が目視できる範囲、山のふもとには住宅街が広がっています。
住民 「火がすごく広がっているので怖い。 (Q.においも) 「普段こんな焦げ臭いにおいはしないので、異常な事態かなと。民家には届かないという情報はもらってるんですけど、怖いですよね。どこまで広がるか分からない」
消防が火災を覚地したのは午前8時54分のこと。登山者からの「煙が出ている」という通報によるものでした。登山者に当時の様子を聞くと。
登山者 (Q.消火はうまく進んでいた) 「難航している感じ。消火剤もヘリから斜めに流れていた。時折ばーっと強い風が吹いて、ひどかった」
群馬県には乾燥注意報や強風注意報は発表されていません。それでもこの辺りでは雨が少ない状況が続いていて、8日の最小湿度は27%と、非常に乾燥していました。
富岡甘楽広域消防本部 (Q.どのくらい延焼している) 「午後3時時点で)400×200メートル。そこからまだ広がっている状態」 (Q.上空の風が強かった) 「午前中はそうでもなかったが、午後になって強くなってきた」 (Q.出火原因は分かっている) 「分かっていない。なかなか火があるところではないので、自然に考えると。ちょっと分からない、今のところ」
■“登山の難所”岩場付近で出火
妙義山の標高は1104メートル。群馬県を代表する山の一つで、映画やコミックの舞台として登場し、トレッキングでも有名な山です。中でも上級者コースとして人気なのが岩場ですが、その堀切(ほっきり)と呼ばれる崖のような付近で火災は起きました。
富岡甘楽広域消防本部 「今回は頂上付近なので、岩場の危険な所なので、なかなか今回に限っては(消火活動が)厳しいのかなと。風が強くて霧状になって(水を)ポイントに落とせない。地上隊も入ったのですが、ヘリが群馬防災と埼玉防災が上空から消火をしたのですが、上空から消火していると、下の隊員は危ないので現場に行くことができない。待機命令が出たので、8日はヘリの散水のみです」
妙義山では過去にも山林火災が起きています。ただ、今回は落雷があったわけではなく、火の気がある場所でもありません。
富岡甘楽広域消防本部 「8日は良く晴れていて、風もなかったんです。朝方からの火災なので、ちょっとあれ?というところも。まして山の頂上付近なので」
■県が自衛隊に災害派遣要請
8日は日没までに防災ヘリ2機で26回、計1万4600リットルが散水されました。それでも午後3時時点で200×400メートル、8ヘクタールが焼けました。枯葉などが燃えたとみられています。出火した場所の周辺に住宅はなく、けがをした人や逃げ遅れの情報は入っていません。
妙義山のふもとに住む人たちの不安は募るばかりです。
近隣住民 「避難勧告は出ていないので、このままいようと思う。夜中に起きてみて様子を見ようと。まだ遠いけど見えるので怖い。とりあえず、ちょっとした荷物はまとめておこうかなと」
中之嶽神社 工藤貴弘宮司 「怖いです。こっち側に来たらどうしようと」 (Q.万が一に備えて) 「とりあえずは明日の様子で。妙義山って水がない所なので、人がいけない場所なので、険しい岩ですから。ヘリコプターで消すんですけど、大きいヘリでまかないと、とても消えるような感じではない」
群馬県は午後6時半、自衛隊に対して派遣要請を行いました。夜間の警戒を担うといいます。消火活動は9日の朝から再開される見込みです。