西日本豪雨では、倉敷市真備町を中心に多くの犠牲者が出ました。残された家族は悲しみに暮れながらも、生活再建に向けて動き出しています。
倉敷市真備町有井で1人の男性が浸水した家の片付け作業に追われていました。
斉藤謙介さん、51歳。今回の豪雨で76歳の母親を亡くしました。
(斉藤謙介さん) 「気持ちの整理というか、もう割り切って、そう言うとったらもう進まんのんで」
真備町では町の4分の1の面積にあたる約1200ヘクタールが浸水し、51人が亡くなりました。斉藤さんの母親、庚恵さんは、斉藤さんの家のすぐ近くの平屋で暮らしていました。
6日の夜、斉藤さんは2階建ての自宅に来るよう庚恵さんに呼びかけましたが、庚恵さんは足腰が悪いこともあり、自分の家にとどまっていました。
しかし、7日未明に小田川が決壊し、斉藤さんたちの家を含む多くの建物が濁流に飲み込まれました。水が引いた後、玄関で倒れている庚恵さんが見つかりました。
庚恵さんの家は、斉藤さんの実家でもあります。親戚や会社の同僚の協力を得ながら片付けを続ける日々。運び出される遺品は全て泥だらけです。
(斉藤謙介さん) 「捨てるもんも全部見て捨てれるわけじゃないんで、割り切りですよね。さすがにアルバムはぽいぽい捨てれん」
(庚恵さんの妹はー) 「どっといかれるならまだいいけど、じわじわ水が増えてきて、それを思うとどんな気持ちで逝ったんだろうと思うと、いたたまれない、泣くまいと思ったけど、思い出したら泣けます」
真備町で亡くなった51人のうち、47人が65歳以上の高齢者で、70代と80代が最も多くなっています。
斉藤さんに「どんなお母さんだったんですか?」と問うと、「もうここ最近は年だったんで…」とだけ語り、片付け作業に戻りました。