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〈新型コロナ〉「お金の流れをそのまんま確保」ミニシアターの支援へ 映画監督が新作をデジタル配信 岡山市

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 新型コロナウイルスで厳しい状況に追い込まれている映画館。特に独立系のミニシアターを救おうと、映画監督の想田和弘さんが5月公開の新作で「仮設の映画館」と銘打った試みを始めます。

 岡山市北区の映画館シネマ・クレールです。全国に約100あると言われるミニシアターの一つで、シネコンなどではなかなか上映されない良質な映画を上映してきました。

 新型コロナウイルスで客足が激減し、苦境に立たされています。

(スタッフはー) 「かなり少ない状況ですね。一桁とかパラパラって感じにはなってますね」 「年配の方がもし感染したらというのもあってかなりシニアの方が減っていますよね」

(浜田高夫 支配人) 「これが続けば、経営上危ないというところまで少なくなってますね」

 シネマ・クレールは27日から5月7日まで休館することを決めました。こうした状況を受けて立ちあがったのが想田和弘監督です。想田監督は「観察映画」と名付けた台本や打ち合わせをしないドキュメンタリー映画を作り続けています。

 妻の柏木規与子さんが岡山市出身ということから、「Peace」、「牡蠣工場」、「港町」など岡山を舞台にした映画を次々に送り出してきました。

 5月2日から公開予定だった新作は「精神0(ゼロ)」。岡山市の精神科の診療所を撮影した「精神」の続編ともいえる作品です。  想田さんは、この作品を「仮設の映画館」でデジタル配信して公開することにしました。

 映画の興行はお客さんが払った入場料の半分を映画館が、残りの半分を製作者と配給会社が分配するしくみです。  「仮設の映画館」が画期的なのは単なるネット配信と違って通常の上映と同様、半分を劇場に分配する点です。  料金も通常通り1800円に設定しました。


(想田和弘 監督) 「要は劇場公開した時と同じようなお金の流れを、そのまんま確保しようと。そうすればたとえリアルな映画館が休館に追い込まれたりとか、お客さんが来にくい状態になったとしても、ちゃんとお金が回るようになるわけですよ」

 想田さんがこんなアイデアを思い付いたのは、ミニシアターという日本の豊かな映画文化を守りたいという思いからでした。

(想田和弘 監督) 「こんなに多様な映画が観られる環境っていうのは、日本以外でなかなかないんじゃないかってよく言われるんですよ。こんなにドキュメンタリーが上映される国もないし。だからこれねえ『宝』なんです」

(浜田高夫 支配人) 「非常にありがたいところですね。通常は配信であれば劇場にまで分配するということはないわけですが、そういう思いがあれば、われわれもちょっと苦しくても、なんとかがんばらないといけない」

(想田和弘 監督) 「これはほんとにあくまでも緊急避難的な措置で、本来はリアル映画館で観てほしいわけです」

(柏木規与子さん) 「みんなが集う場なんで映画館って。ああだったこうだったって終わった後に二次会、三次会に行ってまた映画の話をして」

(想田和弘 監督) 「だから今は配信で我慢して、コロナが明けた時にみんなで思いっきり映画館に集ってですね、映画館ってこんなにいいものだったんだなあって、映画館で映画を観るってことは私たちに必要だったんだなっていうことを、みんなで確認しあいたいんですよ」

 新作「精神0」は、診療所の山本昌知医師が高齢のため引退を決意し、認知症の妻芳子さんとの生活に戻っていく様子を映し出します。

(柏木規与子さん) 「山本先生が『共生』っていう言葉を何回も言われるんですけど、共生、共に生きるってことがすごい問われる時代、時期ですよね。分断していくんじゃなくていろんな価値観の人がいっしょに共生しながらも一つの目的に向かって早く収束していこうっていうふうにしていかなきゃいけないんじゃないかって思うんですね」


(想田和弘 監督) 「特にこういう時代だからこそ、私たちは怖い、死に対する恐怖に脅かされつつも、それでもやっぱりハッピーに幸福に生きていきたいわけじゃないですか。心の平和を取り乱したくないわけです。そのためにはどういうことができるのか、どうしたらいいのかというヒントは、僕はこの映画にはあると思うんです」

 「仮設の映画館」には14日現在で、全国32のミニシアターが参加しています。

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