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〈新型コロナ〉どんな時も前向きに フルマラソン23回完走、走り続ける視覚障害者 岡山

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 外出自粛の呼び掛けが続く中、明るく楽しく毎日を過ごそうとしている視覚障害者の女性が岡山市にいます。女性の趣味はランニング。走り続けながら、前向きに生きる姿を取材しました。

 杖を握っているのは、岡山市南区に住む久保瞳さん74歳です。久保さんは33歳の時に網膜色素変性症という目の病気にかかり、40代半ばでほぼ視力を失いました。

 この日、久保さんは「同行援護」を行う「ガイドヘルパー」の女性と一緒にスーパーを訪れました。

(ガイドヘルパー/小山和歌子さん) 「グラム数が264グラム、オリーブ豚337円。それでいいですか?」 久保さん)「もうちょっと多いのある?」 小山さん)「若干多いので276グラムで353円」 久保さん)「はい」

 久保さんは品物を見て購入を決めたり、メモを見たりしながら買い物することができません。事前に何を買うかを頭に入れてスーパーを訪れています。

久保さん)「5枚切りある?」 小山さん)「ありますよ」 久保さん)「5枚な?間違いないな」 小山さん)「はい。間違いなく5枚。今度は牛乳行きます?方向転換行きますよ。そのまま、そのままおってください」

 新型コロナウイルスの感染防止のために「ソーシャル・ディスタンシング」が呼び掛けられていますが、久保さんは手を引いてくれるガイドヘルパーのサポートがなければ、スーパーの中を移動できません。

(久保瞳さん) 「熱があるような人は、多分支援には来てくださらないと思いますし、私も極力接触しないように、出掛けるときには必ずマスクをする、それから帰ったら手洗いうがいをする。そういう意味では予防を最大限にしながら、皆さんに支えてもらって外出してますね」

 久保さんは買い物から帰ると、何を買ったのか記録します。記録を読み返すことで、冷蔵庫にどんな食品が残っているかなどを確認できるそうです。


(久保瞳さん) 「だいたい毎日何を食べたかとか、朝起きて何をしたとか、体重がなんぼとか練習も含めていろんなファイルを作って書いてますね。書かんと落ち着かない。なんか自分の過去を消すような気がするんで」

 久保さんは手際よく野菜を切ったり、炒めたりすることができます。できることは自分でやり、できないことは他人に頼る。そう割り切ることで、人生を楽しめるようになったそうです。

(久保瞳さん) 「見えなくなってこういう人生を歩くのも私の定め。せっかくこういう定めになったんだったら、後悔が最小限になるように最後まで悔いのない人生を送りたいなと思ってます」

 久保さんの最大の楽しみは週に3日行っているランニングです。2019年の岡山マラソンを含めて、これまでフルマラソンを23回も完走しました。    伴走者は、同行援護の「ガイドヘルパー」です。念のため、ランニング中もマスクを着用しています。

(久保瞳さん) 「苦しくないって言ったらうそなりますけど、(マラソン)大会本番にマスクしなければ呼吸も少しは楽になるから、負荷かけて練習になるんだろうと思って、マスクをずっとしてますね」

 久保さんは、ランニングが好きな視覚障害者とサポートする伴走者が集う「ももたろうパートナーズ」というサークルの代表を務めています。しかし「ももたろうパートナーズ」は現在、活動を自粛しています。

 ガイドヘルパーとのランニングが、走ることができる唯一の機会です。

(久保瞳さん) 「やっぱり外を走らせてもらえるっていうのが、一番の喜びですかね」

 この日は2時間かけて約15キロを走りました。

(久保瞳さん) 「マラソンに出会えて、支えてもらって、感謝をしながら生きていってることで、本当に私は幸せ者だなって思える今があるんです」


 どんな時も前向きに走り続ける久保さん、今年も岡山マラソンに挑戦し、完走を目指します。

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