内容と制定過程に疑問の声が上がっている香川県のネット・ゲーム依存症対策条例についてです。香川県議会は、制定過程の検証と条例の抜本的な見直しを求める市民からの陳情2件をいずれも採択しませんでした。
2件の陳情は、いずれも高松市でITサービス業を営む岸本充裕さんが6月に行ったものです。 1件は、ゲームの利用時間を1日60分までとする目安を盛り込んだ香川県のゲーム条例の抜本的な見直しを求めるもの。もう1件は、パブリックコメントで8割以上を占めた「賛成意見」の多くが同じパソコンから連続で投稿された痕跡が見つかるなど不透明な制定過程の検証を求めるものです。
陳情が付託された総務委員会の採決では2件とも「不採択」でした。 13日の本会議では、共産党県議団の秋山議員が陳情を採択すべきという立場で討論しました。
(共産党県議団/秋山時貞 議員) 「県民から寄せられる疑問や疑念の声に誠実に答え、信頼回復をはかるためまさに今、県議会が責任を持ってやらなければならないことであります」
陳情の採決は、委員会の審査どおり「不採択」に賛成する議員が起立する形で行われました。 制定過程の検証を求める陳情は、40人の議員中、不採択に賛成が23、反対が17。条例の抜本的見直しを求める陳情は不採択に賛成が37、反対が3で、いずれも不採択となりました。
陳情を行った岸本さんも、議場で採決の様子を傍聴しました。 条例の検討委員会は「議事録」を作っていないため、岸本さんは今回の陳情についての議員たちの判断が、総務委員会や本会議の議事録に残ることは意義があると話します。
(陳情を行った/岸本充裕さん) 「制定過程に対して県議会として何も扱う意思がないということは、民主主義的な過程で審議をはかることがないようなところなんだというイメージを強く、県内の人はもちろんですが、全国の方に植え付けることしか効果がないと思います」