世界的建築家、故・丹下健三さんが手掛けたことで知られる旧香川県立体育館の保存活用策を探ります。香川県教育委員会は対話を通じて民間事業者の意見や提案を把握する「サウンディング型市場調査」を今年度中に行うことを決めました。
保存か解体か…“宙ぶらりん”だった「船の体育館」
(山下洋平記者リポート)
「保存か解体か。閉館から6年半もの間、宙ぶらりんの状態が続いていましたが、ようやく動き出す可能性が出てきました」
旧香川県立体育館は1964年に完成し、特徴的な外観から「船の体育館」の愛称で親しまれてきました。
老朽化で天井が落下する恐れがあるとして県が耐震改修工事を検討しましたが、入札が不調に終わったため断念。
2014年9月に閉館し、現在は、体育器具などの倉庫として使われています。
県は保存か解体かの明確な方針を示していませんが、地元の建築家らは「建築的な価値が高く地域のシンボル的存在だ」として保存を呼び掛けています。
また、2017年には歴史的建築物などの保存に取り組むアメリカのワールド・モニュメント財団が緊急に保存が必要な「危機遺産」に登録しています。
「サウンディング型市場調査」とは
(山下洋平記者リポート)
「今回、県教委が行うのは対話型、サウンディング型と呼ばれる市場調査です。おととし1月にはここ、旧県立中央病院跡地の利活用についてもこの調査が行われました」
この調査手法は、自治体が公有地の活用方法指定管理者を決める際などに事前に民間事業者と直接、対話して意見や提案を把握するものです。
保存活用策は?民間から意見や提案聞き取りへ
県教委は、旧県立体育館に関心がある民間事業者に保存活用の方法について意見や提案を聞く方針です。
県が断念した改修工事で「ネック」となったのは、特殊な構造の屋根と、天井が低いためバレーボールや新体操などの競技施設として十分な機能を果たせないことがありました。
県教委は、この調査で優れた提案があればその実現性や安全性、文化的な価値への影響を調べて保存を委ねたり、売却したりできないか検討するとしています。
2021年秋ごろには参加者を募り、年内に対話を行う予定です。