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【特集】J2・ファジアーノ岡山 「子どもたちに夢を!」の理念掲げ歩んだ15年 見えた地域課題と今後

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 サッカーJ2・ファジアーノ岡山が2006年のクラブ創設以来、理念に掲げている「子どもたちに夢を!」。この2年、新型コロナ禍に直面したクラブは地域のスポーツ発展のため、そして子どもたちのために、取り組みを加速させています。

 Jリーグ参入から13年。2月の開幕戦で記念すべきホーム戦100勝を達成したファジアーノ岡山。クラブ創設以来、「子どもたちに夢を!」を理念に掲げて歩んできました。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「ファジアーノ岡山が岡山にできるまで、プロクラブというものが存在しない町でした。岡山の子どもたちが自転車やバスに乗って本物のスポーツを見に行ける、そんな状況を作ってあげたいと思っていました」

サッカー以外にも広がる取り組み

 ファジアーノは、小学生がホーム戦全試合を無料で観戦できる「夢パス」や、県内17会場でのスクールなど、サッカーを通じた企画で地域の子どもたちとつながってきました。

 この取り組みは、サッカー以外にも広がっています。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「そもそもファジアーノ岡山の会社名が『株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ』なんです。サッカークラブではありません。スポーツを通じてこの地域に何ができるか」

 岡山市内のとある野球場。そこには、ファジアーノのエンブレムが。実はこの野球場、ファジアーノが岡山市の「指定管理者」となっている施設です。指定管理者とは、自治体が所有する施設の管理を民間業者などに任せることでノウハウを生かしたより効果的な運営を行ってもらおうという制度です。

 ファジアーノがここに取り組んだきっかけは、新型コロナによるリーグ戦中断にありました。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「2020年、コロナ禍で4カ月間試合を行うことができませんでした。興行ができない中でプロクラブが岡山にある意味というのを、改めてスタッフ一同で考え直しました」

「Jリーグに上がってから十数年間、見るスポーツだったり応援するというスポーツは一歩を踏み出したと思っております。ただ、次の10年に向けてソフト面だけではなくて、県民の皆さまが安心安全にスポーツができるようなハード面にも取り組んでいけば、このファジアーノ岡山というものがこの地域にある意義というものも見いだせるのではないか」

スポーツがしたくなる環境づくりを

 現在、野球場から弓道場、相撲場まで、岡山市内26のスポーツ施設の指定管理者を務めるファジアーノ。管理を始めてまもなく1年、地域の人にスポーツを楽しんでもらうためには施設の課題も見えてきました。

(ファジアーノ岡山 指定管理部/村井祐規 部長)
「他の競技団体との接点もなかなか持てなかったので、そういう方々とコミュニケーションを取れるというのも一つの利点だけど、施設に入ってみると結構古い施設とかたくさんあるので、直さないといけないところっていうのは結構あるかな」

 ファジアーノが管理している60年前にできた野球場を見ると、フェンスやべンチなどは年季を感じさせます。さらに……

(ファジアーノ岡山 指定管理部/村井祐規 部長)
「まだくみ取り式のトイレになっている。子どもたちは今、和式トイレも家でなかなかないので、利用者さん的にはやっぱり困っていると思います。スポーツしたい子が集まってくる施設なので、また岡山市さんと話しながら進めていけたら」

 4月からは新たに総社市の5つの施設や、シティライトスタジアムを含む岡山県総合グラウンドの指定管理者となるファジアーノ。各施設の古くなったトイレやロッカールームなどの整備を進め、スポーツがしたくなる環境づくりに取り組みます。

地域の課題を見極めて活動

 さらにハード面での取り組みは他にも。岡山市北区日吉町の岡山西バイパス沿いに、照明付きで人工芝のフットサルコートを建設します。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「指定管理にもつながるが、この地域の課題って何かというのをしっかり見極めて活動しています。県内に人工芝や天然芝のサッカー場の数は、実は少ない」

 ファジアーノの調べによると、岡山県内の芝や人工芝のサッカーグラウンドは18面。全国で43番目の数だそうです。

 この課題を解決しようと、ファジアーノのスポンサーでもあるJR西日本岡山支社の遊休地を借りて、フットサルコート2面やクラブハウスを建設します。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「クラブだけではなくて、地域の企業とプロクラブが一緒になってこの地域の課題解決をしていく。スポーツを通じてそういった一助になっていきたいと思っております」

ファジアーノ岡山に憧れた少年、プロキャリアをスタート

 岡山の子どもたちに夢を与えようと活動の幅を広げるファジアーノ。このクラブの理念は今シーズン、一つ実を結びました。

(ファジアーノ岡山/佐野航大 選手[1月8日の会見])
「小さな頃から地元が岡山なので、シティライトでファジアーノがプレーしているのを見ていたりとか憧れはあったので」

 2月の開幕戦でルーキーながら、いきなりデビューを飾った津山市出身のミッドフィルダー・佐野航大。子どもの頃ファジアーノに憧れた少年が、県外の高校を経て地元・岡山でプロキャリアをスタートさせたのです。

(ファジアーノ岡山/佐野航大 選手)
「何回かですけど(地元の)津山でやったときも見に行ったんで。高いところからは見ていたけど、初めてピッチに立ってみてスタンドが赤で染まっていたので、こんな景色だったんだと思ってすごい圧倒されました」

 そして次は、自分のプレーで「子どもたちに夢を」与えます。

(ファジアーノ岡山/佐野航大 選手)
「やっぱり一生懸命走ってがむしゃらにやる姿を見せていきたいですし、自分の良さをしっかり発揮できれば子どもたちに笑顔だったり夢とかを与えられると思うので自分もそういう選手になりたいです」

これからも「子どもたちに夢を!」

 クラブ創設から15年、岡山にサッカーがあることを「日常」にしたファジアーノ。これからはスポーツ全般を通じた取り組みで、岡山の子どもたちに夢を与えます。

 もちろん、リーグ戦も気合十分。今シーズンは12人の新戦力を迎える大型補強で、J1という「夢」を見据えています。

(ファジアーノ岡山/北川真也 社長)
「例年以上にJ1昇格というものを意識をしている1年になります。だからこそ、もうチャンスを待つのではなくて、自らそのうねりを起こしていく。もうチャンスは自ら掴みに行く、そんな1年にしたいなと思っています」

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