岡山県浅口市の寺で保存されている「人魚のミイラ」とされるものを倉敷市の大学を中心とした研究チームが科学的に分析していて、4月、中間報告をまとめました。
2022年2月、倉敷芸術科学大学でスタートした「人魚のミイラ」の研究。
ミイラは、浅口市の寺、円珠院に伝わるもので体長は約30センチほど。指には平らな爪。体にはうろこも確認できます。
生物学が専門の加藤敬史教授を中心に科学的分析を進めて、4月、中間報告をまとめました。そこではいくつかの新たな発見が。
(倉敷芸術科学大学/加藤敬史 教授)
「外見はいわゆるサルですね。霊長類の仲間のような外見をしていますけど、詳しく見てみますとカーブした歯があります。とがった歯が」
X線CTスキャンによる歯の画像を見てみると、内側を向いたとがった歯が奥までびっしりと生えていることが分かります。
(倉敷芸術科学大学/加藤敬史 教授)
「(Q.今わかっている霊長類とかとは違う?)まったく異なる。肉食性の魚類だとか、は虫類に近いような歯を持っています」
また、胴体の部分に確認できたうろこ。分析を進めると、腕には胴体と異なる形のうろこがありました。
(倉敷芸術科学大学/加藤敬史 教授)
「1種類の魚にここまで形の違ううろこが同時に一定の面積を持って広がるというのはあまり無いと言いますか、現生の魚でこういうものを見ることはありません」
他にも首と尾ひれの部分に人間が刺したとみられる金属製の針が刺さっていましたが、その目的については分かっていません。
哺乳類とも魚類とも異なる特徴が見つかり謎が深まる人魚のミイラ。
研究チームでは今後、剥がれ落ちたうろこのDNA分析などを通じて、他の生き物との違いや、どの時代に生きていたのかなど調査して、9月ごろに最終報告をまとめる予定です。
また、「人魚」は江戸時代には信仰の対象であったとされていて、民俗学的な見地からも研究を重ねるということです。
(倉敷芸術科学大学/加藤敬史 教授)
「これが一体どういうものか科学的に明らかにすると共に、円珠院さんの歴史と共に地元の方に大切にされるようなお手伝いをできればと考えています」
今回研究されている人魚のミイラは、7月から倉敷市の自然史博物館の企画展で一般公開される予定です。