岡山県浅口市の寺には「人魚」とされるもののミイラが保管されています。倉敷市の大学を中心とした研究チームが伝説の「人魚」の調査に乗り出しました。
(倉敷芸術科学大学/加藤敬文 教授)
「(子どもの頃)少年向けの雑誌とかで見てたんですけど、それが現実してここにある。大変わくわくしております」
人魚と言えば、海の中を魚たちと共に優雅に泳ぐ神秘的なイメージ。その人魚の「ミイラ」が浅口市の寺、円珠院に保存されているというのです。
2月2日に倉敷芸術科学大学にそのミイラが運び込まれました。ミイラは体長は約30センチほどで、上半身の指には爪、下半身の魚の部分にはうろこも確認できます。
一緒に保管されていた文書には「人魚干物」の文字が。さらに江戸時代に高知県で魚の網にかかったことなどが記されています。寺に渡った経緯などは不明だということです。
(円珠院/柆田宏善 住職)
「研究をしていただくことによって、後世にこういうものが記録として残せるのなら、一つのいいきっかけかなと思いまして」
このミイラは一体何物なのか。倉敷芸術科学大学が生物学の専門家らで研究チームを結成しました。
研究チームによると、こうした「人魚のミイラ」は全国でいくつか見つかっているものの、今回ほどの規模で科学的分析が行われるのは初めてだということです。
これまで見つかっている中には上半身がサル・下半身がサケで作られたものもあったそうです。
(岡山民俗学会/木下浩 理事)
「実在の動物かどうかはとにかく置いておいて、私の観点からすると(ミイラが)作られた時代にこの人魚のミイラに何を託されたのか。例えば、人魚の伝説でいうと『不老不死』の伝説がよくついてきます。薬としての役割もあったといわれています。当時の人々がこのミイラに対してどのような思いがあるのか」
江戸時代には信仰の対象であったとされる「人魚」。この人魚のミイラにはどんな伝説があるのか。今回のプロジェクトでは、民俗学的な見地からも調査を重ね、9月中旬に研究結果を報告する予定です。