政務活動費の支出を巡り、公職選挙法違反の疑いで告発された香川県議ら21人について、高松検察審査会が「起訴相当」とする議決を27日に公表しました。何が問題とされたのか? そして、告発対象となった県議の反応は?
「意見交換会費」の名目で自治会の総会や祭りの実行委員会、趣味の会などに政務活動費から支出された5000円や1万円。
市民オンブズ香川は、この意見交換会費の支出は公職選挙法が禁止する「寄付」にあたるとして、高松地検に刑事告発しました。
2019年度当時の県議21人が支出した1362件、約900万円が捜査対象になりましたが、高松地検は2022年3月、「嫌疑不十分」で不起訴としていました。
これに対し、「起訴が相当」だと議決した高松検察審査会は、この支出は法が禁じる「寄付そのもの」だと指摘。
「他の議員がしているのに、自分が寄付しないのはまずい」「手ぶらで行くわけにはいかない」という県議側の意識に加え、会合の主催者側にも「寄付を一定程度期待する雰囲気があった」と長く続く慣習にも言及しました。
告発対象となった県議は――。
(香川県議会[自民党議員会]/斉藤勝範 議員)
「我々としては(政務活動費)マニュアルに則って出させていただいて、寄付というあれ(認識)が全くなかったというその点は、非常に考え方が甘かったなという気はしています」
また、別の議員はKSBの取材に対し、「議会事務局などに細かく確認しながら出したものが寄付にあたるというのは極めて遺憾に思う。選挙区内の団体などへの支出は、地域の人たちときちんと向き合った結果だ」と話しています。
告発を受けて、香川県議会では政務活動費マニュアルを見直す特別委員会を2022年2月に設置。
2022年度から「意見交換会費」は県政に役立てることが主な目的であるものに限り、飲食を伴う会合の参加費は認めないよう改訂しています。
2013年度から香川県議会で政務活動費の収支報告書に全ての領収書の添付が義務付けられたのがきっかけでその存在が明らかになりました。
2013年度分の「意見交換会費」については、2021年4月、高松地裁が「政務活動費との合理的関連性がなく違法な支出」だとして、当時の県議23人に総額約970万円の返還を求めるよう知事に命じる判決を出しました。
検察審査会「起訴相当」の議決で、今後どうなる?
検察審査会とは、一般の市民から選ばれた11人が検察による不起訴処分について審査するもので、検察官の判断に対して市民感覚を反映させる目的で設けられています。
「不起訴」という地検の処分に対して、申し立てなどがあった場合に審査を開始。11人のうち8人以上が「起訴すべき」と判断すると「起訴相当」という議決が出ます。
「起訴相当」の議決が出ると、検察は改めて捜査し、起訴するかどうかを原則として3ヵ月以内に判断することになります。
そこで、再び不起訴とした場合、検察審査会が2度目の審査を行い、再び8人以上が「起訴すべき」とすると指定の弁護士が検察に代わって強制的に起訴します。
菅原一秀 元経済産業大臣のケースでは、検察審査会が「起訴相当」という議決をしたことで、地検が不起訴としていた処分を一転。2021年6月に違法な寄付をした罪で略式起訴され、罰金と公民権停止3年の略式命令を受けました。
また、2019年の参議院選挙広島選挙区を巡る買収事件では、検察審査会が広島県議ら35人を「起訴相当」と議決しました。その後、重度の健康不良だった1人を除き、34人については検察が当初の不起訴処分を覆して起訴しました。