防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」です。香川県東かがわ市で、池の底を掘って過去の災害を知ろうという取り組みが進められています。
東かがわ市の大池で調査を行っているのは、香川大学・創造工学部の寺林優教授らの研究グループです。調べようとしているのはかつての「災害の痕跡」です。
(香川大学 創造工学部/寺林優 教授)
「歴史資料に残っていないそれ以前ですね。地震による津波の記録っていうのは、池の底の堆積物を、それを調べないとわからない。地質学的に過去の地震を調べて、津波の履歴を調べたいっていうのが目的です」
30年以内に70%から80%の確率で起きるとされている「南海トラフ地震」。江戸時代などに起きた南海トラフ地震の被害状況については、資料が残されています。
一方、今回調べようとしているのは、記録が残っていない3000年から4000年ほど前の状況です。今回調査している大池は、水深が3.5mから4mほど。寺林教授たちは、池の底から6mほど掘り下げて堆積物を調べます。
大池の場合は1年で1mmほどが池の底に堆積していくと考えられています。仮に、過去の地震で大池に津波が到達していれば、堆積物の中に海底の砂や植物、貝殻などが含まれている場合があります。つまり、池の底の堆積物を調べることで、過去に津波が発生した時期やその規模を推定できます。
「大池」は海の近くにあり、人の手があまり加えられていないため、今回調査対象に選ばれました。
(香川大学創造工学部/寺林優 教授)
「ハザードマップ等ありますけども、実際にかつてどういう津波が発生し、どういう津波が襲来したか、いつ襲来したか、それを明らかにすることで、防災にも役立つものだと考えております」
大池での掘削調査は18日まで行われ、その後、堆積物のCT画像解析などを進めます。同じような調査は瀬戸内海の他のエリアでも進める予定だということです。