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書籍「香川にモスクができるまで」出版 日本で暮らす外国人が増える中、著者が伝えたかったこととは

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 イスラム教徒が礼拝を行う「モスク」。その「モスク」を香川県につくろうと奮闘するインドネシア人男性の2年間を追った本が出版されました。日本で暮らす外国人が増える中、著者が伝えたかったこととは――。

 1月26日に出版された「香川にモスクができるまで」。香川県に住むインドネシア人の男性が「モスク」をつくろうと物件探しや資金集めに奮闘する姿が描かれています。

 書いたのは香川県在住のノンフィクション作家・岡内大三さん(40)です。

(岡内大三さん)
「イスラム教徒についてもっと知りたいなと思っていて、その時にモスクを作るっていう計画があると聞いたので、取材をしようかなと思いました」

 2019年3月、岡内さんは香川県に住むインドネシア人のコミュニティーを初めて取材しました。

(岡内大三さん)
「謎の日本人が行ったわけですけど、それでも『あなたは何者なのか』とか詮索してこない。『ここに来た人はみんな友達だよ』っていう感じがすごくして、すごく寛容だなっていう印象がありましたね」

 香川県のまとめによると、2019年12月時点で香川県には約1000人のインドネシア人が住んでいました。その多くはイスラム教徒、いわゆるムスリムですが、当時、香川に礼拝をするための「モスク」はありませんでした。

 岡内さんはモスクを作るために奔走するリーダーのフィカルさんに同行取材する中で、さまざまな「差別」と「偏見」を感じました。

(「香川にモスクができるまで」 晶文社/岡内 大三より)
「私たち、日本人から『あなたテロリストやろ?』って言われることがあるんです」
「私と一緒に歩いていて、恥ずかしくないですか?」

(岡内大三さん)
「本当にいたたまれなくなっちゃって、それと同時に怒りもこみ上げてきたんですね。これから移民が増えてくるのは確実なことなので、日本人も、ちゃんと彼らとのコミュニケーションをとれずに、困ってしまうんじゃないのかな」

 香川県によると、県内に住む外国人の数は2022年6月時点で1万4234人。この10年で6000人ほど増えました。

 岡内さんは2019年3月以降、インドネシア人のコミュニティーを継続的に取材しています。彼らが「モスク」をつくるという目標に進んでいる中で、新型コロナの感染が広がりました。仕事が減るなど、生活が厳しくなった人もいたそうです。

(岡内大三さん)
「インドネシアのコミュニティーの人たちに会いに行くと、『どうやって助けるか』っていう会話ばかり聞こえてくる。自分も大変な状況のはずなのに、コミュニティー形成能力とか、助け合いの心みたいなのがやっぱりあるので」

 「モスク」に関してもさまざまな壁にぶつかりましたが、一つ一つ乗り越え、2021年2月には「モスク」となる物件を購入しました。費用は、みんなで捻出したり、各地で寄付を募ったりして、どうにか集めました。

 岡内さんは取材を通して、彼らのつながりの強さを実感したそうです。

(岡内大三さん)
「移民から、日本人も彼らのいいところを見つけて、学んでいけるんじゃないのかなと。そうなったときに、初めて対等な関係になるので。対等でないと、多文化共生は絶対にできないと思う。どちらかが上から目線の場合だと、それが善意であったとしても、絶対に生まれない理念だと思うので、そういうことを伝えたい」

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