人口約430人の香川県観音寺市の伊吹島に、活気あふれる季節がやってきました。「イリコ」の原料、カタクチイワシの漁が12日に解禁されました。
島を取り巻くようにイリコの加工場が並ぶ観音寺市の伊吹島。12日朝5時半、15軒の網元の船が港から一斉に瀬戸内海の燧灘に向かいました。うどんのだしに欠かせない「イリコ」の原料、「カタクチイワシ」の漁のスタートです。
魚の群れを探し出し、数百mもの網を2隻の船で引いて追い込む「バッチ網漁」という方法で行われます。
10人がかりで網を引き上げてイワシを運搬船に入れ、素早く加工場に運びます。
(野口真菜リポート)
「大漁を願って迎えたきょうの解禁日。無事にたくさんのカタクチイワシが獲れ、漁場からわずか10分~20分ほどで加工場に運び込まれてきています」
素早く加工すること、そして塩を加えた海水でゆでることが、上質な味わいを生む秘訣だそうです。
20時間ほど乾燥機にかけると、早いもので翌日には出荷されます。
漁が始まる4日前、解禁に先駆けて大漁と安全を祝う「三番叟まわし」が行われました。
約300年の歴史を持つ徳島県の伝統芸能で、阿波木偶箱まわし保存会の2人が一軒一軒網元を回り、神様をあらわす4体の木偶(でこ)という人形を順番に操りながら福を授けます。
この日は伊吹小中学校にも訪れ、かつては正月に四国各地を回っていたことや、香川県では現在伊吹島だけが迎え入れていることなどを伝えました。
(中学生は―)
「自分の家が網元で、小さいころから当たり前だと思っていたことが、他からしたら当たり前じゃないことがわかって、自分の家ってすごいのかもしれないと思うことがたくさんあって、改めて見ることができてよかったです」
(阿波木偶箱まわし保存会/中内正子 会長)
「漁は船の底板一枚といわれるくらい厳しいお仕事だと思うんですよね。そんな中で、えびすさんが、ようけ獲れるよとあらかじめ祝ってくれるとともに安全もともに祈ってくれるというのが大事だと思います。これからも続いていくといい」
伊吹島のカタクチイワシの漁は9月ごろまで行われる予定です。
(平三水産/真鍋鴻我さん)
「きょうやってみてわかったんですけど、出だしは良い方で、みなさんで工夫して食べていただけたら」