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【解説】死者は75人…岡山県で最も被害が大きかった倉敷市が迎えた「大きな節目」〈西日本豪雨から5年〉

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 発災からまもなく5年となる西日本豪雨についてです。岡山県では関連死を含めて95人が犠牲となりました。最も大きな被害が出た倉敷市は、2023年度を「復興の最終年度」と位置づけていて、インフラの整備などが進んでいます。

(倉敷市/伊東香織 市長)
「元の真備に戻っていくためにどうすればいいかということをみんなで考えて、そして一緒に進めてきた5年間だったというふうに思っています」

 2018年7月6日、岡山県をはじめ、西日本各地に「大雨特別警報」が出されました。

(記者)
「水の上で炎が上がっているような状態になっています」

(記者)
「道路はあのように冠水してしまっていて、この先向かうことができません」

 岡山県では約8200棟の住宅が全半壊。災害関連死を含めて95人が亡くなり、今も3人が行方不明のままです。

 最も被害が大きかった倉敷市。真備地区を流れる小田川とその支流の堤防8カ所が次々と決壊し、町は濁流に飲み込まれました。

 倉敷市だけで住宅の全半壊は5492棟、死者は75人に上ります。

 「平成最悪の水害」から5年。復興も大きな節目を迎えます。

(倉敷市/伊東香織 市長)
「『5年の間で復興を成し遂げていく』という強い思いで取り組みを進めてまいりました」

 ピーク時には倉敷市で8780人、岡山県全体では9074人が暮らした仮設住宅。建設型の仮設住宅は2022年9月までに全ての住民が退去しました。

 「みなし仮設住宅」には5月末時点で4世帯10人が入居していますが、いずれも住まい確保のめどは立っていて、7月5日までに全ての世帯が退去することが決まっています。

 真備地区の人口は西日本豪雨前までは2万2800人ほどでしたが、豪雨の翌年には2000人以上減少、その後はほぼ横ばいで推移しています。

 伊東市長は、仮設住宅に住んでいた人など住民票を移さずに真備を離れていた人もいるとして、仮設住宅がほぼ解消された今、戻ってきた人も多いのではないかとしています。

 豪雨のあと、インフラの整備も進んでいます。その一つが、国土交通省が行っている小田川と高梁川の合流点付け替え工事です。

 合流点を4.6km下流に付け替えることで川の流れをスムーズにし、河川の氾濫リスクなどを軽減します。

 現在の進捗は8割ほどで、小田川の3つの支流の堤防整備も含めて2023年度中に完成予定です。

 さらに、防災機能を備えた復興防災公園も2023年度中に完成する予定です。名前は「まびふれあい公園」となることが29日、発表されました。

 防災の教育や住民の憩いの場として新たな町のシンボルになることが期待されています。

(倉敷市/伊東香織 市長)
「子どもさんから大人の方まで楽しく気軽に遊んでいただいたり、外からの方との交流とふれあいも増えていく場所、真備の魅力を発信していける場になればという思いで名前をつけました」

 倉敷市は、復興計画の中で2023年度を「復興期の最終年度」位置づけ、今後を「さらなる発展に向けた地域の創造期」としています。

 伊東市長は29日の会見で、真備のこれからの課題として「町のにぎわいという面で新型コロナの3年間が地域住民の交流に影を落としている」と話しました。

 そんな中、真備地区では新型コロナの影響で3年間中止となっていた「一大イベント」が復活します。

4年ぶりに開催「真備・船穂総おどり」

 6月23日。倉敷市真備町箭田の「マービーふれあいセンター」には約150人の住民らが集まりました。

(真備・船穂総おどり実行委員会/蛭田純司 副委員長)
「思い出しながら踊っていただきたいと思います」

 開かれていたのは「真備・船穂総おどり」の練習会です。

 「真備・船穂総おどり」は2007年に始まったイベントで、例年約1000人が参加していました。

 新型コロナの影響でここ3年は中止していましたが、7月15日に4年ぶりに開催することが決まりました。この日は実行委員会が、久しぶりに踊る人や初めて参加する人に向けて振り付けを指導しました。

(参加した子どもは―)
「(Q.みんな何歳?)5歳! 6歳!(Q.きょう上手に踊れた人?)はい! 楽しかった」

(真備・船穂総おどり実行委員会/蛭田純司 副委員長)
「本当に集まってくれるのかなと心配していたんですけど。子どもはやっぱり早いね、覚えるのが。楽しそうにやってくれているので良かったです」

 前回「真備・船穂総おどり」が行われたのは西日本豪雨・翌年の2019年。被災後初めてとなる「総おどり」に住民らの笑顔が咲きました。

(真備・船穂総おどり実行委員会/蛭田純司 副委員長)
「(前回は)大雨でね、とにかくやろうって言って(逆に)盛り上がった。それはうれしかったですね。ただ、その次からコロナでね。皆さんも(今回に)期待してくださっている」

 4年ぶりとなる今回は、地元の高校や事業所など7つの団体が新たに踊りに参加することになりました。当日参加も可能で、実行委員会は豪雨前と同じ1000人規模での開催を目指しています。

(参加した人は―)
「めちゃくちゃ久しぶりなのでうれしいなと思います。やっと新型コロナから解放されたのかなみたいな。災害もあったのになかなかなかったから楽しみです」

 復興への大きな節目となる2023年に復活する「総おどり」。一大イベントの復活は町の復興に向けても大きな一歩になりそうです。

(真備・船穂総おどり実行委員会/蛭田純司 副委員長)
「災害にあわれた方もぼちぼち帰ってきてくださっている、それは本当にうれしいこと。あまり大きな祭りとか行事が(真備には)ほとんどないので、これが一つの起爆剤になれば」

 4年ぶりの「総おどり」。町の皆さんのつながりがより強くなるきっかけになればいいなと感じます。真備・船穂総おどりは7月15日に開催されます。

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