5年前の西日本豪雨の教訓を学校現場で生かしてもらおうと、岡山県教育委員会が災害時に必要な対応などをハンドブックにまとめました。
岡山県教育委員会が作成した教職員向けのハンドブック。災害が発生し、学校で避難所を運営する時や被災した学校を再開させる時に必要な対応、手順などを詳しくまとめています。
このハンドブックの作成に携わったのが、県教育委員会の髙津智子さんです。2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けた倉敷市真備地区にある薗小学校の校長でした。
(西日本豪雨を経験した 薗小学校 元校長/髙津智子さん)
「初めての経験でまさかのことだったので、避難所運営といっても何から手を付ければいいか分からなかったんですけれども、たくさんの災害支援団体に入っていただいて、そういった皆さんの力でどうにか進んだ」
当時、被災を免れた薗小学校の体育館は避難所となり、収容可能な人数(180人)をはるかに超える1000人ほどが押し寄せました。高津さんは、当時の経験から得た教訓を生かしてハンドブックの作成に取り組みました。
(西日本豪雨を経験した 薗小学校 元校長/髙津智子さん)
「段ボールベッドとカーテンで仕分けするようなプライベートなこと、衛生管理にかかる床に寝ないようなことは知らなかったので、そういったものを要請したり用意することが必要」
最もこだわったポイントは「心のケア」です。ガイドブックでは、災害によって起こるストレスの種類や特徴、教職員の対応などについて詳しく紹介しています。
また、ストレスを和らげる方法や、子どもの健康状態をチェックするためのアンケートを掲載するなど、ガイドブックの3分の1ほどが「心」に関する内容です。
(西日本豪雨を経験した 薗小学校 元校長/髙津智子さん)
「何もかも失って、子どもたちの心の傷とか、保護者もそうですから、どういうふうに学校再開に向けて教職員が対応するか、どんな言葉をかけるか、その子の状況把握して対応することに苦心しました」
県教育委員会は2022年、学校に避難所が開設された時、現場の教職員の代わりに運営に携わる支援チームを結成しました。
有志の教職員ら62人が登録していて、髙津さんもメンバーの1人です。
(西日本豪雨を経験した 薗小学校 元校長/髙津智子さん)
「自分自身が助けられましたので、自分の経験や、被災地で苦しんだりつらい思いをしている人を少しでも助けられるなら何かの役に立てるんじゃないかなと思いました。1人1人に恩返しはできないんだけれども、これが私の恩送りになるのかなと思っております」