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【解説】韓国フォトウェディングなど 新型コロナで打撃のブライダル業界は新たな形の結婚式を模索

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 少子化の影響もあり、全国の婚姻数はこの50年で半減しています。さらに、新型コロナによって結婚式が中止や延期となり、ブライダル業界は大きな打撃を受けました。そんな中、式場は新たな形の結婚式に取り組んでいます。

 民間の信用調査会社、東京商工リサーチがまとめた全国の結婚式場158社の売り上げの推移を見ると、コロナ禍で結婚式の自粛が広がり、2021年の売り上げはコロナ禍前、2019年の53%まで落ち込みました。

 2022年の売り上げは2019年の76%と少し回復しましたが、利益について調べた75社のうち43%にあたる32社が「赤字」となるなど厳しい状況は続いています。

結婚式場を子どもと一緒に何度も訪れてもらう場所に

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「結婚式も1組もお手伝いできない期間が、2カ月、3カ月弱ぐらいあったので。(コロナ前と比べて年間売り上げが)7割ぐらい減った感じです、コロナ前と比べて」

 結婚式のプロデュースなどを行う岡山市の「ティアラ」も、新型コロナによって大きな打撃を受けました。コロナが5類に移行し、結婚式自体は少しずつ増えてきていますが、今後の不透明感はぬぐえません。

 国のまとめによると、日本の婚姻数は1972年の109万9984組をピークに減少傾向です。「令和婚」がブームとなった2019年には7年ぶりに増加しましたが、その後は減少。2022年は、ピーク時の50万4878件でピーク時の半数以下です。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「(結婚式の)組数を追いかけ続けると、どうしても今の少子化とかっていう影響をもろに受ける」

 2022年10月、新型コロナによる停滞を打ち破ろうと、新しく始めたのが「こどもとしょかん」です。

 「こどもとしょかん」は、明治時代に建てられ。かつて陸軍の社交場だった「旧岡山偕行社」の中で行っています。ティアラはこの建物の1階を借りて結婚式やカフェを開いてきました。

 新たに始めた「こどもとしょかん」は、ここで結婚式を挙げ、子どもを育てた人たちから譲り受けた絵本など、約500冊を並べています。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「図書館をやりたいっていうよりも、その方々と改めてそういった接点を持って、未来の子どもたちにつなげていける場所にできたら最高だなと思って」

 「結婚式場」という基本1度しか来ない場所を、子どもと一緒に何度も訪れてもらう場所にするというのがこの取り組みの狙いです。

 さらに……。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「私どもがウェディングで培ったノウハウ、シーンのプロデュースっていうのを、今度はイベントにつなげていきたいなと思っています」

 9月の土日祝日にはこの場所で「秋祭り」を開催する予定です。

 図書館だけでなく、屋台や、イルミネーションをともして、屋内外で楽しめる空間をつくろうとしています。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「婚礼の枠をはみ出してイベントを開催するのは初めてです。地域の方々がこの場所を楽しんでいただけるようなコンテンツを、自分たちがもっともっと発信していければいいなと思っています」

韓国ドラマのワンシーンのような写真を

 別の形で県外からお客さんを集めている結婚式場があります。岡山市の「ザ マグリット」です。

 この日やって来たのは神奈川県から来た井上さん夫婦です。お目当ては……。

 韓国ドラマのワンシーンのような写真を撮影できる「韓国フォトウェディング」。新婦の両親も、シャッターを押す手が止まりません。

(新婦の父/徹さん)
「いいですね」

(神奈川県在住/井上未歩さん)
「渡韓して撮影することも検討したんですけど、日本で、岡山で撮影できるのを知って、こちらのスタジオを選びました」
(神奈川県在住/井上裕哉さん)
「とてもきれいで、驚いています」

 結婚式の減少を逆手にとり、控室の一部を約6600万円かけて改装してスタジオをつくりました。

(マグリット/羽原俊秀 社長)
「新しい時代の公民館みたいな役ができたらなっていうのがありまして。この3年間準備をして、挑戦してきたつもりです」

 韓国フォトのポイントは、撮影後にもあります。写真は本場韓国の編集チームが、体型をすっきり見せるなどのレタッチと呼ばれる「修正」を加えて納品されます。

 ドレスとタキシードそれぞれ3種類を着て撮影し、20ページのアルバムと200枚の写真データがもらえるプランの場合、料金は26万9500円です。

 LINEで見積もりや注文ができるため、韓国フォトウェディングは、半数は県外からだということです。

(マグリット/羽原俊秀 社長)
「新型コロナの間に、いろんな価値観が変わってきたように思います。特に結婚式はもっともっと変わる必要があるんじゃないか」

新たな結婚式の形を求めて模索続ける

 結婚式をプロデュースするティアラの磯島社長が訪れたのは、玉野市のリゾート施設「SETONITE」です。磯島さんは、瀬戸内海を一望できるこの場所で結婚式を企画したいと考えていました。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「今は結婚式場探しになってしまってるんですけど、もっとその手前で。場所を、どこでやりたいのか、2人のルーツってどこなのか」

 新型コロナの影響で多様化が加速した結婚式。余興やお酒の提供が減るなど、結婚式の内容も変わってきているそうです。

 ティアラがプロデュースした式では、乾杯は屋外で行い、ウェディングケーキはそれぞれのテーブルに1つずつ飾り付けるなど、久しぶりに会う親族や友人と一緒に楽しみたいという新郎新婦の思いを形にしたそうです。

 新たな形を求めて模索が続きます。

(ティアラ/磯島貴史 社長)
「ティアラだからこそプロデュースができるっていうようなところを、改めて自分たちが原点回帰じゃないですけど、できればいいなって思います」

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