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【解説】岡山市中心部の路面電車「環状化計画」が再始動 メリットや課題は? 専門家「費用負担をどうするかクリアにする必要ある」

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 岡山市中心部で「路面電車を環状化」する計画が再び動き始めようとしています。
 2023年9月、岡山市の千日前地区に岡山芸術創造劇場「ハレノワ」がオープンしました。岡山市が先週発表した新年度当初予算の要求額には「ハレノワ」の前にも路面電車を走らせて環状化するための調査費が含まれました。
 この「環状化」の計画は一時ストップしていましたが、再び動き始めました。

路面電車「環状化」へ新ルートどう整備?

(松木梨菜リポート)
「現在、ハレノワに行くには、こちらの西大寺町の電停を使わないといけないんですけれども、距離があって少し歩かなくてはいけないんです」

 岡山電気軌道は現在「東山線」と「清輝橋線」、2つのルートで路面電車を運行しています。

 今回、岡山市が実現に向けて調査しようとしているのが東山線の『西大寺町』と清輝橋線の『大雲寺前』の電停約600mの距離を結んで路線を「環状化」するルートです。このルートは「ハレノワ」の前を通ります。

(松木梨菜リポート)
「現在は自転車の専用レーンがありますが、こちらと同じような形で歩道に沿って路面電車の軌道を整備するイメージだということです」

 新しい電停は「ハレノワ」の南側に整備。新しいルートは左回りのみの単線とする予定です。

 このルートは、岡山市が2020年2月にまとめた「路面電車の環状化計画」の一部です。当初は、2023年9月のハレノワオープンに合わせて整備を進める計画でした。

 しかし、新型コロナの影響で事業者である岡山電気軌道の運賃収入が減少。市と岡山電気軌道の協議は「一時」ストップしました。

 それでも、コロナ禍が明けたことで状況が変わってきました。

(岡山市 交通政策課/金川伸也 課長)
「市民の理解が得られるなら、経営が成り立つなら協力したいというご発言を(岡山電気軌道から)いただいておりますので、お互い議論できる状態にはなったかなと思っています」

 岡山市によると、路面電車の運賃収入は新型コロナの影響でコロナ禍前の3割ほどにまで落ち込んだこともありました。それでも2023年3月にはコロナ禍前の9割ほどにまで回復しました。

 さらに2023年9月のハレノワオープンによって周辺の通行量が増えています。

 市の調査によるとハレノワがある表町3丁目エリアの2023年9月の通行量はコロナ禍前を2割ほど上回りました。

(岡山市 交通政策課/金川伸也 課長)
「コロナウイルスが5類に移行して人の動きが変わってきた。事業費、事業スキームについて市の方で検討させて頂いて、それをもって岡山電気軌道さんと協議をさせていただく」

 岡山市の新年度当初予算には、路面電車の環状化に向けて事業費や採算性を検討するための費用、約2500万円が要求されています。今後、市長査定を経て2月中旬にも当初予算案がまとまる予定です。

環状化のメリットは?

 この環状化のメリットについて地域経済の専門家は……。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「メリットは中心市街地での公共交通が便利になるということがありますね。地域の方々や観光客の方の周遊が促進されて地域でお金を落としてもらえるという経済効果が大きいと思います」

 日本政策投資銀行岡山事務所の森脇所長は、路面電車の環状化を実現するためには「費用負担をどうするか」という点をクリアする必要があると考えています。

 2020年に作られた計画では、延伸部分の事業費は約9億円とされています。この費用は国と岡山市、事業者が3分の1ずつ負担する計画でした。

 一方、数年が経ち、人件費や資材費などが上がってきている中で、実際に事業費がいくらになるのか、それをどういう形で負担するのかは改めて考える必要がありそうです。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「急激に人口が減っていきますので、利用者が減るという前提のもと、今までと同じように民間事業者が自助努力で公共投資をやってくださいっていうのは経営者目線でいうと無理があると」

 森脇所長はその上で、路線の設置費用を岡山市が負担し、民間事業者が運行する「公設民営」で進めるのが最善ではないかと考えています。

 路面電車を巡って岡山市は、環状化に加えてJR岡山駅前広場に乗り入れるための整備も進めています。こちらは2026年度末に完成予定で総事業費は約88億円です。

 ハレノワ周辺を環状化する狙いについて岡山市は……。

(岡山市 交通政策課/金川伸也 課長)
「乗り入れの事業効果を波及させる意味も含めて実現に向けて検討していきたいと思っています」

 今回、ハレノワ周辺のルートは大雲寺前から西大寺町の電停に向けた左回りでの運行が計画されています。

 その狙いについて、専門家は……。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「ハレノワのみならず、その周辺にも文化的な施設とか、岡山後楽園だったり、岡山城だったり、観光客に複数のそういった施設に足を運んでいただく。そのための役割を『路面電車に担ってもらおう』と、そういう期待があってそういう計画になっているのではないか」

 岡山市は市内を走る路線バスの再編も進めるなど公共交通は変革を遂げそうです。

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