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【解説】都市公園事業の負担金巡り岡山県と岡山市が対立 両者の主張の根拠は?

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 都市公園事業の負担金を巡る岡山県と岡山市の対立。両者の主張の根拠は。
 今回の解説は、都市公園事業の負担金を巡り、岡山県と岡山市が対立している問題です。

 岡山市は、岡山県から求められていた負担金の支払いを拒否していましたが、4月15日に支払いました。しかし、今後、県に返還を求め、協議の結果によっては訴訟を起こす可能性があるとしています。

 なぜ、こうした事態になったのでしょうか。

(岡山市/大森雅夫 市長)
「無用な市民負担の発生を防止するため、不本意ながら負担金をいったん払った上で協議を続けるとしたものです」

 4月15日、岡山市の臨時議会で2023年度の都市公園事業の負担金、4045万円を支出する補正予算案が提案され、全会一致で可決されました。

 これを受けて、岡山市は岡山県に負担金を支払いました。

 岡山県は、都市公園事業について各市町村に負担金を求める条例を定めていて、岡山市の負担割合は50%です。

 岡山市での都市公園事業は県総合グラウンド関連の1件で、2023年度分は、火災報知器などの更新と外灯のLED化が対象です。

 岡山市は、2023年度分について「維持管理にあたるため、負担金の対象ではない」として支払いを拒否してきました。

 これに対し岡山県は、「国のガイドラインに基づき、維持管理にはあたらない」として支払いを求めていました。

 条例が今の内容になったのは1990年。なぜ、2023年度分についてここまで対立しているのでしょうか。

 ポイントの一つが、岡山県と岡山市が2022年12月に交わした合意文書の存在です。

 市は、その前の年から50%の負担割合が高いとして、県に見直しを求めていました。

 合意文書は「2023年度以降の支払いは、県と市の協議の結論に基づき行う」としていますが、この解釈が県と市で異なっているのです。

(岡山市/大森雅夫 市長)
「結論が出ていない中、請求されることはいかがなものかと思っております」

(岡山県/伊原木隆太 知事)
「そこまでできた協議そのものも結論とみなす、という文書もあるので、それに基づいて支払うということが我々の理解」

 こうした中、岡山県は岡山市に納入通知書を送りました。4月15日の支払いの期限を過ぎると延滞金が発生します。

 市は「県に延滞金の免除を求めたが拒否された」として、負担金をいったん支払った上で県に返還を求めていく方針に転換しました。

(岡山市/大森雅夫 市長)
「我々としては、延滞金を発生させずにこれからの交渉、必要とあれば訴訟という形を取らざるを得ない」

 岡山市が岡山県に見直しを求める負担割合について見ていきます。

 岡山県の条例では岡山市と倉敷市は50%、それ以外の市町村は30%から15%を負担することになっています。

 他の都道府県ではどうでしょうか。

 岡山市のまとめによりますと、条例などで負担金を定めているのは岡山県の他に7県あり、市町村の負担はほとんどが20%から10%になっています。

 岡山市は、「具体的に何%が妥当」とは主張していませんが、他の県と比べて割合が高いことから岡山県に見直しを求めています。

 これに対して岡山県は「県総合グラウンドの利用者は70%から80%が岡山市民で、市の負担割合は高くない」としています。

 岡山市は2023年度分の負担金について、岡山県に返還を求める方針です。

 協議がまとまらなかった場合、市は、総務大臣に異議申し立てをすることができるほか、取り消しや返還を求める訴訟を起こすことができます。

 ただ、異議申し立ては「金額への不服」に限られるため、請求すること自体が妥当かが論点にならない恐れがあるとして見送りました。

 訴訟については、県の請求から半年後にあたる2024年9月29日が期限です。市は、それまでに負担割合の引き下げなどについて合意したいとしています。

 行政の専門家は、県が費用負担を求める以上市町村からの意見を尊重すべきだと話します。

(京都産業大学法学部/喜多見富太郎 教授)
「都道府県と市町村は現在は対等な関係と考えられていて、どういうふうな形で負担金を払うか県と市の間で決めていくというのが正しいやり方だと思います」

 自治体や国の行政の実務に詳しい、京都産業大学法学部の喜多見富太郎教授です。

 喜多見教授は、県が費用負担を求めるなら事業の内容について市町村の意見が反映されるべきだと話します。

(京都産業大学法学部/喜多見富太郎 教授)
「県が造った施設に市がお金を出すかわりに、きっちりした協議の場をつくって、市がパートナーとしてその県の事業の中身に、市の意見を参画できるような新しい運用の仕方があるのでは」

 さらに、国の公共事業では自治体に費用負担を求めないよう制度の見直しが進められているため、今後は県と市町村の間でも見直しが必要だと訴えます。

(京都産業大学法学部/喜多見富太郎 教授) 
「世の中の動きを踏まえて、県の方は市にどういう負担を求めていくのか、よく協議していく必要があると思う」

 岡山県と岡山市は都市公園事業の負担金以外でも折り合いがついていない問題があります。それが、市が整備を検討している「新アリーナ」です。

 市は県に財政負担を含めた協力を求めていますが、県は「財政支援する必要性を感じていない」などとして応じていません。

 喜多見教授は、こうした状況が長引くことで県と市にあつれきが生まれ、災害救助など協力が必要な場面で支障が出る恐れがあると指摘します。

 都市公園事業の負担金を巡り岡山市が訴訟を起こした場合、費用は税金で賄われることになります。

 県民、市民にしわ寄せがこないような協議が必要だと感じます。

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