岡山大学学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)の芳野極教授が参加する、日英仏米の国際的な科学者チームが、地球マントルの深い部分にある「溶融層」ができるメカニズムを解明した。
地球マントルには、410kmの深さに地震波の速度が急に変わる不連続面があり、その上には地震波の伝わる速度が遅くなる2重の「低速度層」が観察されているが、それができるメカニズムは謎に包まれていた。
芳野教授らのチームは、高圧下でマントルを構成する物質「ケイ酸塩物質」に水を加えたものを溶かして重い球を落下させたところ、異常に粘性が低く物質が流れやすい性質であることが分かった。
そしてモデル計算から、上昇するマントル対流の部分で水を含んだ溶融物が存在する場合、2重の「低速度層」ができることが分かった。
この研究によって、マントルの対流や、地球上で生命が出現するまでの化学進化に対する理解が進むことが期待される。