自転車が関係した交通事故を減らそうと、高松北警察署は2025年度、「特別取り締まり隊」を発足させ、指導や取り締まりを強化しています。最も多い違反、そしてその要因とは?
最も多かった自転車の違反は「一時不停止」
高松市中心部を管轄する高松北警察署が2025年4月、香川県警で初めて発足させた「自転車特別取り締まり隊」です。交通課員を中心に30人で構成されています。
過去に大きな事故があった場所や自転車の通行量が多い場所で、違反の取り締まりや安全運転の呼び掛けをほぼ毎日行っています。
発足から5月末までに16件の違反を検挙。その中で最も多かったのが「一時不停止」です。
(取り締まり隊の呼び掛け)
「とまれの標識あります。自転車も止まってください」
隊員の呼び掛けで多くの人が止まっていましたが、中には、減速せずにそのまま進み、指導を受ける人もいました。
(自転車特別取り締まり隊 隊員)
「一時停止自体分かっていないような感じだったので、そこに対して指導した。自転車も止まらないといけないことを知らない方もいらっしゃる」
2024年1年間に香川県内で起きた自転車が関係する交通事故は544件で、8人が亡くなりました。ここ5年間をみると件数は少しずつ減っているものの、人口当たりの死者数は5年中4年間が全国ワーストです。
(記者リポート)
「この交差点ではこの道からきた自転車とこの手前の道からきたバイクが出合い頭で衝突する事故がありました。自転車が来た道には一時停止する必要がある停止線がありました」
警察は、自転車とバイク双方の安全確認不足が事故の原因で、自転車側が一時停止しなかった可能性も高いとみています。
(高松北署/矢嶋浩司 交通課長)
「ルールが浸透していない。車両としての意識がまだ低い現状です。免許を持っている人は理解が早いが、学生や高齢者はなかなか標識の理解が浸透していないのかな」
自転車を利用する人にちゃんと「一時停止」をしているか聞くと……。
(街の人は―)
「一旦停止はなるべくするようにしているけれど忘れるときもある。常に標識ばかり気にしていないので」
「(免許を取る前は)標識を見ることはあまりない。普段通る道は『ここ危ないな』という意識があったが、新しいところに行くときは標識は見ていなかった」
「自転車もとまれ」香川県警が独自に看板を設置 その狙いは
(記者リポート)
「一時停止は、路面標示に加えて『とまれ』の赤い標識がありますが、車にあわせて高い位置にあります。このため、香川県警では自転車を運転する人の目線の位置に『自転車もとまれ』という看板を設置しています」
香川県警が13年前から独自に設置したものです。自転車を運転する際は段差や障害物に注意を払うため車よりも近い距離、かつ視界の下の方を注視する傾向があります。そのため、車の目線に合わせた標識は自転車を運転する人に認知されにくいのです。
また、自転車にも「一時停止」のルールが適用されることを意識付ける狙いもあります。
自転車の交通違反に対して反則金の納付を通告する、いわゆる「青切符」による取り締まりが2026年4月1日から始まります。反則金は「ながら運転」の1万2000円が最高で、一時不停止は5000円です。
(高松北署/矢嶋浩司 交通課長)
「(Q.取り締まり隊の活動を始めて変化は?)少しずつ(皆さんの)意識は変わってきていると思います。一層ルール、マナーの向上に向けて頑張りたい。1件でも自転車が関係する交通事故が減っていくとありがたい」