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旧香川県立体育館の解体着工 県が“急いだ”背景に住民訴訟…原告「倒壊の危険性はない」

 閉館から約11年半、保存・再生か解体かで揺れ続けた「船の体育館」が大きな節目の日を迎えました。建築家、丹下健三が設計した旧香川県立体育館の解体に向けた工事が10日朝、始まりました。

(記者リポート)
「午前8時前です。旧香川県立体育館に作業員や工事車両が入っています。雨が降る中、これから解体工事に着手します」

 初日の10日は、まず建物の正面に解体工事の看板を設置しました。そして、チェーンソーなどを使って敷地内に植えられた木の伐採を始めました。

 高校1年生まで近所に住んでいたという高松市の女性は工事の様子を見に訪れました。

(工事を見に訪れた女性[高1まで近所に住む])
「十分議論されたのかなっていう気持ち、やっぱり悔しい気持ちがあります。慣れ親しんだところなので、映像じゃなくて自分の目で見て思い出を心に刻んでおきたい(と思って来た)」

 1964年に完成した旧香川県立体育館は、和船を思わせる外観から「船の体育館」の愛称で親しまれてきました。

 柱がない大空間を実現するため、ワイヤーで屋根をつった特殊な構造で、建築的に高い評価を受けてきましたが、老朽化のため2014年9月に閉館しました。

 2025年7月には、建築家らで作る再生委員会が土地と建物を買い取るなどして公費をかけずに再生することを提案しました。

 しかし、県側は「大地震で倒壊する危険性がある」として約8.5億円で解体工事の契約を結びました。

(記者リポート)
「近隣の住民から工事への不安の声も上がる中、解体着手を急いだかのようにうつる香川県。背景にあるのは、裁判の動向です」

 香川県側は表向き、「一日でも早く安全面のリスクを取り除くため」としていますが、最近まで、敷地内を県立武道館の臨時駐車場として開放し、建物の下に車が止められる状況を続けていました。

 再生委員会の長田慶太委員長は、2025年11月、香川県を相手取って解体工事費の支出差し止めを求める住民訴訟を起こしています。

 この中で原告側は、建物が倒壊する危険性はないという専門家の意見書を提出し、「急いで解体しなければならない理由はない」と主張。

 鑑定のため、建物の現状維持を求める「証拠保全」を申し立てていますが、裁判所がその必要性を判断する前に着工に踏み切った形です。

(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「耐震性能があるものを今壊そうとしている。非常に住民訴訟を軽視していることもはっきりしましたし。県が良心を持ってると思って接してきたことが僕らは多かったと思うんですよ。耐震性能に関してもきちんとした事実を提示できればとか、対話の姿勢でいればとか。住民の反対を押し切ることはないだろうとか。そういう信じてきた側面が結果として僕らの落ち度になった。(Q.今後は?)もう少しちゃんと事実を皆に伝えていく努力がいるだろうし、結果として残ることがあればという希望は捨てるべきではないだろうということでは今あります」

 解体工事のスケジュールは、まず外構の解体と仮設工事を進め、5月から内装を解体。そして2026年9月から建物本体の解体に取り掛かる予定です。着工は当初予定していた3月下旬からずれこみましたが、県などは予定どおり2027年9月中旬までに全ての工事完了を目指すとしています。

 住民訴訟は、次回、4月28日に非公開の弁論準備手続きが予定されています。

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