高松市の大島にあるハンセン病療養所の入所者の男性がCDを制作しました。95歳の現役歌手が歌に込めた思いとは。
(「こころ」を歌う東條高さん)
「わたしのこころは湖水です どうぞ 漕いでお出でなさい」
歌っているのは、ハンセン病療養所「大島青松園」の入所者、東條高さんです。
沢知さん「1番はまあまあ歌えましたね」
東條さん「2番は難しかった……あがってしまったんかな、ハハハ……」
95歳になったいま、自分の歌声を残したいと、CDを制作しました。
(大島青松園 入所者/東條高さん)
「この年になっても歌を歌えることは本当に素晴らしいことでありがたいことだと思っています」
プロデュースしたのは、2001年から大島青松園でコンサートを続けている、歌手の沢知恵さん。幼少期から交流があった東條さんのことを父のように慕ってきました。
東條さんがどうしても歌いたかったという「こころ」は、もともとあった詩に沢さんが曲を付けたものです。
(歌手/沢知恵さん)
「私の魂のような曲を、高さんがその曲を歌いたいと。電話の声が本気、どうしても作りたいというのが切々と伝わってきた」
3年前にコンサートで披露し、CDにも収録されている名曲「君といつまでも」。
療養所で出会って結婚し、かつて一緒にステージに立った亡き妻・康江さんを思って歌ったそうです。
(大島青松園 入所者/東條高さん)
「忘れることはできません。彼女が言うには『前を向いていかないかん』と。そう言われて、一生懸命前を向いて歌っています」
沢知さん「加山雄三さんが引退するのに、年上の東條高は引退しない?」
東條さん「はい」
16歳で大島青松園に入所し、過酷な強制隔離の時代を生き抜いてきた東條さん。教会で讃美歌を歌ったり、全国の療養所を巡ってカラオケ大会に参加したり……その人生は歌とともにありました。
沢知さん「あとコンサートまで2カ月あるから、1番と2番を歌えるように」
東條さん「はい、頑張ります」
年齢を重ね、耳が遠くなってしまった今も情熱は冷めていません。
(大島青松園 入所者/東條高さん)
「(大島青松園で暮らして)私はよかったと思います。音楽に浸ったということは本当に一番よかった。他に何もやることなかったから。自分の命のある限り、歌っていきたいと思います」
東條さんのCD「こころ」は、インターネットで購入できます。