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【ガザ所有は不動産取引】域外移住に再開発“国際社会が反発”トランプ氏構想の真相は

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トランプ米大統領は2月4日、イスラエルのネタニヤフ首相と同席した会見で、パレスチナ自治区ガザ地区について言及し、米国がガザを所有し、パレスチナ人を別の土地に移住させた後に、「中東のリビエラ」を目指す再開発を行う意向を表明した。トランプ氏は、ガザ住民をヨルダン、エジプトなどに移住させる考えで、「荒廃したガザは住むのに適していないので、ガザに戻ろうと思わないような素敵な行き先を提供したい」と、自身の構想を明らかにした。ガザ地区は、トランプ氏の就任前日の1月19日に停戦が発効し、南部から北部に多くの人が徒歩で移動を行っている。現在、ガザ地区全体では200万人以上のパレスチナ人が暮らしており、15カ月以上に及ぶ戦闘で4万5000人以上が死亡している。トランプ大統領の「ガザ所有」発言について、イスラエルの極右政党党首で、連立政権の閣僚であるスモトリッチ財務相は6日、歓迎の意向を示した。スモトリッチ氏は、「パレスチナ国家という危険な考えを決定的に葬り去る」と強調した。

日本時間の8日未明に行われた日米首脳会談で、記者からガザ所有のスケジュールなどを問われたトランプ氏は、「(ガザを所有する案は)非常に好評だ。米国はこれを不動産取引として見ている。我々はこの地域で投資家となる。急ぐ必要はない」と答えた。米国のガザ所有によるパレスチナ人の域外移住を提案したトランプ氏に対して、中東から反発が広がっている。ロイター通信によると、サウジアラビア政府は親米国ではあるが、「パレスチナ人を彼らの土地から追い出そうとするいかなる試みにも反対する」と強調し、「パレスチナ国家の樹立なしに、イスラエルとの関係を確立することはない」と表明した。グテーレス国連事務総長は5日、「解決策を模索する中で、問題を悪化させてはならない。国際法の根本に忠実であり続け、いかなる形の民族浄化をも回避することが不可欠だ」と語った。

国際社会の反発や懸念を受けて、トランプ政権の関係者は軌道修正に追われた。ホワイトハウスのレビット報道官は5日、「大統領は米国がガザ地区に部隊を派遣し、再建の費用を負担するとは約束していない」と釈明した。トランプ氏は自身のSNSで、「ガザ地区は戦闘終結後にイスラエルから米国に引き渡される。米軍の派遣について、その必要はない」と投稿し、発言を修正した。さらに、ルビオ国務長官は6日、滞在先のドミニカ共和国で、トランプ氏が示したガザ所有の構想について、「不発弾などが残されていて危険なため、現時点で居住は不可能。ガザ復興中、住民は一時的に他の場所に居住する必要がある」と説明した。

トランプ政権の中東担当特使として、不動産会社を経営するユダヤ系の富豪スティーブ・ウィトコフ氏は、中東政策の方向性に大きな影響力を持つと報じられている。ウィトコフ氏は、1月29日にガザ地区を視察した際、「ほとんど何も残っていない。5年以内のガザ再建に向けた確固たる計画を立てられると思っていたが、それは不可能。10年から15年は必要だ」と、見通しを語った。米CNNは、トランプ氏に対するウィトコフ氏によるガザに関する説明が「転換点」となったと報じた。加えて、中東問題担当の大統領上級顧問であるマサド・ブロース氏も中東政策に取り組んでおり、トランプ氏の意思決定に貢献している。ブロース氏は、レバノン系アメリカ人で、トランプ氏の次女ティファニー氏の義理の父にあたる。今回の米大統領選で、ブロース氏は、アラブ系の有権者を取りまとめる重要な役割を果たした。 ★ゲスト:高橋和夫(放送大学名誉教授)、杉山晋輔(元駐米大使)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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