トランプ大統領は7日、ロシアへの大規模な制裁を検討していると明らかにしました。一方で、和平合意に向けては、「ウクライナよりロシアと交渉する方が簡単かもしれない」との発言も。(3月8日OA「サタデーステーション」)
■マスク氏とルビオ氏が衝突?
7日、トランプ大統領がある報道の火消しに走る一幕がありました。
米トランプ大統領(7日) 「衝突などない。私はその場にいた」
6日の閣僚会議で、「政府効率化省」を率いるイーロン・マスク氏がルビオ国務長官に対し、「職員を誰も解雇していない」と批判、激しい口論になったとアメリカメディアが伝えました。
米トランプ大統領(7日) 「イーロン(・マスク氏)はマルコ(・ルビオ国務長官)ととても仲が良く、2人とも良い仕事をしている。衝突などない」
2人の仕事ぶりを評価し確執を否定しました。
■「ロシアの方が簡単」
この日の注目の発言は他にもありました。
米トランプ大統領(7日) 「ロシアとはうまくやっていると思う」 「最終的な和平という点ではロシアと交渉する方が簡単かもしれない。なぜならロシアはすべてのカードを握っているからだ」
和平合意に向け、ウクライナよりロシアと交渉する方が簡単だと語りました。
一方で、これまでみせなかった姿勢もありました。
米トランプ大統領(7日のSNSへの投稿) 「停戦と和平に関する最終的な合意が成立するまで、ロシアに対して金融分野への大規模な制裁や関税を課すことを強く検討している」
交渉を進めるため、ロシアにも圧力を加えた格好です。
■ゼレンスキー氏は関係改善に意欲
米トランプ大統領 「君の今の立場は悪い。君は今カードを持っていないのだ」 ウクライナ・ゼレンスキー大統領 「私たちはカード遊びをしていない」 (1日の首脳会談でのやり取り)
1日の会談でカードがないと指摘され、協議が決裂に終ったウクライナのゼンレンスキー大統領は7日、関係改善に意欲を示しました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領(7日のSNSへの投稿) 「トランプ大統領のチームと作業が続けられている。和平をできるだけ早め、安全保障の基盤を強化するための会合を準備している」
来週、サウジアラビアで両国の高官が協議する見通しです。
■制裁の効果は限定的?
高島彩キャスター 「トランプ大統領はロシアに対して大規模な経済制裁を検討していると明らかにしましたけれども、現在行っている制裁について、見ていきたいと思います」
板倉朋希アナウンサー 「これまでアメリカが行ってきた制裁は、ロシアの大手銀行の資産凍結などの金融制裁であったり、ロシアにとって主な収入源となっているエネルギー製品の輸入禁止、他にも半導体などハイテク製品の輸出禁止などがあります。ただ、この効果は懐疑的でして、実質GDP成長率を見てみますと、ロシアは3.8%ということでアメリカよりも上という状況なんです」
高島彩キャスター 「この実質GDP成長率を見ますと、アメリカの制裁がロシアには効いていないというふうに思いますよね」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「そもそも、制裁に参加しているのはG7を中心とした国々に限られているんですね。中国、あるいはインドといったグローバルサウスの国は参加していないので、いわば制裁の抜け道になっているわけですね。ですからトランプ大統領が『大規模な制裁』といっても、果たして有効な手だてが残されているかどうか、大いに疑問なんですよね。そういった意味で言うと、今回のトランプ大統領の発言というのは、自らに向けられていた『ロシア寄り』だという批判をかわすのが一番の狙いだったように思いますね」
高島彩キャスター 「こうした中、12日にはサウジアラビアでアメリカとウクライナの高官による協議が再開されそうだということですけれども、ここではどういった話し合いが進むんでしょうか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「アメリカが思い描いた形で停戦への道筋をつけたいと、そのために、ウクライナに対して思いっきり強い妥協を迫るような対応が考えられます。特にトランプ大統領がこだわっているウクライナの鉱物資源の権益を巡って、ウクライナの安全保障の問題も絡んでますけれども、トランプ大統領が思い描いたような格好でウクライナ側に要求を飲ませるような、そういう会議になるような気がします」
高島彩キャスター 「ウクライナ側の要求というのはどうでしょうか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「あくまでも安全の保証をしてほしいということなんですけど、それについてはトランプ大統領が先の会談でかなり厳しく反発してますから、果たしてウクライナ側の要求をアメリカが聞き入れるかどうか、非常にそこは未知数ですね」
高島彩キャスター 「ウクライナへの侵攻が始まってから3年が過ぎていますからね、一刻も早い停戦の実現へ向けて大きな1歩となってほしいと思います」
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