朝令暮改が続く「トランプ関税」に振り回される日本。政府が考える経済対策は給付か減税か。新たに「商品券」という案も浮上してきました。
■朝令暮改の「トランプ関税」
立憲民主党 後藤祐一議員 「今、与党内でも、このトランプ関税を受けて不景気になるんじゃないか、あるいは現下の物価高対策として1人3万円とか5万円とか現金配ってはどうかというような議論も出てきているようでございますけれども」
“トランプ関税”にどう対応していくのか、国民の負担をどう軽くしていけるのか。衆議院で集中審議です。
石破総理大臣 「政府と致しまして、新たな給付金といった補正予算経済対策について検討している事実はございません」
そのトランプ関税は…。
トランプ大統領 「我々はここ数週間、一日に20億から30億ドルを稼いでいる。かつてなかったことだ」
揺れに揺れています。
トランプ政権が言うところの「相互関税」の発動から2日後、当局はスマートフォンやノートパソコンなどの電子機器を相互関税の対象から除外すると発表していました。
その多くは中国からの輸入に頼っているため、大幅な値上がりが懸念されていたのです。
例えばアップル社のiPhone(アイフォーン)は、その生産と組み立ての9割を中国に依存しているとも言われています。
金融サービス会社Wedbush ダン・アイブス氏 「部品を供給するためアメリカ国内に工場を作った場合、iPhoneの価格は3500ドルになるだろう」
3500ドル、日本円にして約50万円です。
しかし、一度発表した関税を訂正したと思われるのが嫌なのか、トランプ大統領はSNSに…。
トランプ大統領のSNS 「金曜日に発表されたのは関税の“例外”ではない」
そして、スマートフォンなどの電子機器には相互関税とは別の関税を課すとしています。
トランプ大統領 「関税は近く発動する。鉄鋼や自動車、アルミに対してやったように今後は半導体や、その他、多くの製品にも同じようにやる」
中国に対する相互関税は125%。新たに導入する関税の税率は1週間以内に発表するとしています。
トランプ大統領 「(Q.iPhoneなどの関税は発表しますか?)近く発表される。議論もするし、企業とも話す。ある程度の柔軟性は必要だ。あまりかたくなではいけない」
トランプ政権は相互関税が発動した、その日のうちに相互関税の大部分を90日間停止しました。
ベッセント財務長官 「90日間の猶予を与えた。アメリカは誠実に交渉を行う、同盟国も同じだろう」
ベッセント財務長官は交渉のための90日間停止と話しましたが、CNNによりますと、内情は違います。
相互関税により、債券市場で安全資産であるはずのアメリカ国債が売られ続けていることをアメリカ財務省が懸念。ベッセント財務長官が直接、トランプ大統領にその懸念を伝えた結果だといいます。
■経済対策に“商品券”案浮上
物価高に加えて先がどうなるのか見通せない“トランプ関税”。
政府・与党内では国民に一律、現金を給付する案も浮上していますが…。
立憲民主党 後藤祐一議員 「1回こっきり、6月までの国会のなかで1人3万円とか1人5万円配るというのは、これは夏の参院選を念頭に置いた選挙目当てのばらまきだと思うが」
石破総理大臣 「令和7年度予算が成立したばかりでございます。令和7年度予算は御党からも色んなご指摘をちょうだいしましたが、物価高対策も盛り込んで成立をさせていただいた。選挙目当てのばらまきというようなことを政府として考えているものではありません」
立憲民主党 後藤祐一議員 「ワンショットのばらまきはないということでよろしいですね、総理」
石破総理大臣 「現時点において、そういうようなことを考えていない」
立憲民主党 後藤祐一議員 「税金を集めて、それを給付するということは非常に評判が悪い。それぐらいだったら最初から減税して(税金を)取らないでほしいという声が大きいことについて総理、どうお考えですか?」
石破総理大臣 「政策というものは御党のご意見も承りながら、本当に真摯に真面目に考えていかねばならないと考えており、先ほど申し上げたこと(選挙目当てのばらまき)をやれば、国民の皆様方の大変な不信を招くことも世論調査の数字も挙げられましたが、よく承知をしている」
給付より減税という話が出ました。
日本維新の会 岩谷良平議員 「この“現金のばらまき”本当に筋の悪い政策だと思う。配るなら最初から取らない方がいい。また、漫然とばらまくんじゃなく、メリハリを効かせた対策が必要。食品の消費税を時限的に2年間0%にして国民の皆さんの暮らしを守ろうというご提案です」
石破総理大臣 「政府の中でこうだという確たる考えがあるわけではないが、それぞれのご意見はよく検討して参りたいと思っています。何が本当に効果的であるのか今、物価高を上回る賃金上昇ということで、私ども政労使で、このことに向けて努力もし、それぞれの皆様方にもご協力をいただいているところ」
具体的にどう対応するのか、石破総理が口にすることはありませんでした。
減税・給付、総理の考えは…。
政治部 官邸サブキャップ 澤井尚子記者 「石破総理は来週にも、まずは物価高に絞った第一弾の経済対策を指示する見通し。総理側近は「石破総理自身はまだフラット」と話していて、給付か減税かは判断していない。現金の一律給付は、政府関係者からは1回限りでスピーディーにできるとして、税収の上振れ分を裏付けに1人5万円程度配る案が出ている。総理自身「“選挙目的でのばらまき”はやらない」と強調したように現金給付には慎重。そこで新たに浮上しているのが、コメやガソリンなど対象を絞った地域ごとの商品券を配る案。消費税の減税は一度引き下げたらもう引き上げられないと政府内では慎重な見方が大勢だが、食料品に絞った減税については石破総理が最後に踏み切る可能性もまだある」
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