19日は今季一番の寒さとなりましたが、一方で海水温は高い状態が続き、広島名産のカキが大きなダメージを受けています。鈴木農水大臣が現地を緊急視察です。
■養殖カキ“大量死” 大臣が視察
外はサクサク、中はふっくら、カキフライ。この旬のカキが“歴史的不漁”に見舞われています。
大乃家食堂 三橋恒之店主 「全然、広島からのカキが入荷しなくて、北海道産のカキを使っている」
扱う北海道サロマ湖産のカキは味が濃厚でクリーミーですが、これまでは大粒でプリッとした食感の広島県産を使用していました。しかし、それが今、叶わぬ状況だといいます。
大乃家食堂 三橋恒之店主 「うちが取引しているカキ屋さんからの情報」
カキの「へい死率」、つまり、カキの収穫量激減を示した数字です。広島は6割から9割減。まさに危機的状況。
大乃家食堂 三橋恒之店主 「今まで何十年もやって、広島産のカキがこんなに無いのは初めて」
19日、東広島市には鈴木農水大臣の姿が。養殖業者から直接、被害状況の説明がありました。
近くの海域ではやはり、6割から9割のカキが「へい死」
鈴木憲和農水大臣 「高温に強いといわれている種苗も、へい死率があまり変わらないと聞いた」
広島県の水産海洋技術センターは、高い水温が影響した可能性を指摘。雨が少なく、海水の塩分濃度が上昇したことも関係していると分析しています。
農水省の調査では去年、広島県のカキは全体の63%を占めています。
冬の味覚カキは今、お鍋で需要が増える時期。当然、食卓への影響も避けられません。
都内の鮮魚店でも…。扱うのは生ガキではなく、春先に取れた冷凍もの。味に遜色はないものの、価格は値上がり傾向です。
魚河岸 中與商店 藤井禎基副店長 「160グラム入りで699円(税抜き)だが、(先週から)100円ちょっと値段が上がっている」
需要次第で、さらなる高値も避けられません。
■なぜ?三重では“収穫3倍”
実は、兵庫県や岡山県でも被害が出ているといいます。
一方で、今季、収穫量が増えた産地もありました。三重県の「浦村かき」です。
「浦村かき」の養殖・販売 浦村シーファーム 浅尾大輔さん 「今年は(去年比で)2~3倍の数」
黒潮の影響を大きく受ける漁場で、今季は順調だと話します。
「浦村かき」の養殖・販売 浦村シーファーム 浅尾大輔さん 「(黒潮の)大蛇行が少しマシになったのが、よくなってきた要因だと思う。(これまでの)高水温がカキにとってダメージが大きかった」
黒潮大蛇行の終息による水温の低下がカキの生育好調の要因とみていますが…。
「浦村かき」の養殖・販売 浦村シーファーム 浅尾大輔さん 「(水温の変化で)塩分濃度が上がったり、酸素濃度が低くなったり。改善できる得策がないか必死に考えている」