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大島新監督「権力者の提訴は表現者を萎縮させる」 平井卓也議員のパーティー券報道訴訟で意見陳述 高松地裁

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 自民党の平井卓也衆院議員が政治資金パーティーを巡る映画や報道で「名誉を傷つけられた」として映画監督やKSB瀬戸内海放送などに損害賠償を求めた民事裁判です。18日の口頭弁論で被告の大島新監督が意見陳述し、「権力者が訴訟を起こすことでメディアや表現者を萎縮させる」と訴えました。

 この裁判は平井卓也議員が代表を務める政治団体が2020年に開いた政治資金パーティーを巡るものです。

 2021年に公開されたドキュメンタリー映画「香川1区」では1枚2万円のパーティー券を10枚購入し、3人の出席を依頼する文書が香川県内の企業に送られていたことを明らかにしました。

 平井議員はこれをきっかけに政治資金規正法違反の疑いがあるとして2022年に刑事告発されましたが、2025年1月、「嫌疑不十分」で不起訴になりました。

 平井議員は「パーティーの実行委員会はこの依頼書の作成や送付に関与していない」とし、映画や、検察審査会が2024年7月に出した不起訴不当の議決について解説したKSBの報道により「名誉を傷つけられた」などと主張。

 映画「香川1区」の大島新監督と製作会社、KSBに対し、損害賠償や放送とウェブでの謝罪などを求めています。

 18日開かれた第2回口頭弁論には大島監督が出廷しました。被告の大島監督側は「映画は平井事務所の見解も伝え、パーティー券の購入依頼書の作成者が実行委員会であると断定はしておらず、疑惑の存在を指摘したものだ」などと主張。

 KSB側も「購入枚数より出席者を少なくする内容の依頼書が存在する事実に基づき報じたのであり、依頼書の作成者について報道したのではない」などと主張しました。

 大島監督は法廷で意見陳述を行い、「政治家などの権力者が訴えを起こすことでメディアや表現者を萎縮させ、疑惑を報じること自体のハードルを上げることにつながりかねない」と訴えました。

 閉廷後、記者会見を開いた大島監督は「他のメディアや表現者仲間のためにも勝訴を勝ち取りたい」と話しました。

(映画『香川1区』/大島 新 監督)
「政治家の疑惑を報じることをためらわせてしまうようなことが起きてしまうと、民主主義社会にとってよいことは一つもないと私は考えております」

 次回の口頭弁論は2026年2月10日に開かれる予定です。

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