岡山在住で、世界的に有名なワイン醸造家の男性が、先日、本を出版しました。今、注目が高まっている「自然派ワイン」の魅力を伝えるエッセイです。
フランスで10年以上にわたって自然派ワインの生産を手掛け、世界的な評価を得ている大岡弘武さん。
出版したエッセイは、フランスから岡山に移住しワイナリーを立ち上げるまでの話と、自然派ワインの造り方を紹介しています。
一般的なワインとの違いは?
自然派ワインとは、できるだけ農薬を使わずに栽培したブドウをフランスの伝統的な方法で醸造したワインのことです。一般的なワインの造り方とは大きく異なります。
(自然派ワイン醸造家/大岡弘武さん)
「おそらく私が持っている視点というのは、他の生産者の方とかなり違っていると思うんです。それで、もう少しこっちの方向というのもあるんじゃないとかなというのを伝えたくて、文章にしてあります」
自然派ワインの造り方
自然派ワインの造り方とはどういうものなのでしょうか? その醸造方法を少し紹介しましょう。
有機栽培したブドウは、収穫した後、大きなタンクに入れます。
(自然派ワイン醸造家/大岡弘武さん)
「ほんのちょっとだけ下の方(のブドウ)が潰れるので、潰れたところでジュースが出てきて、そこで発酵が始まって、この中が二酸化炭素で満たされるんですよ。そうすると、その時点でこの中が酸化しないんですね。だから酸化防止剤を入れずに、ワインを造るスタートができるんです」
その後、タンクの中に入り、足でブドウを潰します。こうすることで、皮についている酵母とジュースが混ざり、酵母の働きが活性化します。
(自然派ワイン醸造家/大岡弘武さん)
「この中にいるといろんな香りが上がってきて、ブドウの実の状態であったり、情報がすごく得られるので、今後の醸造をどうしていこうとかそういうアイデア浮かんできます」
ブドウを踏む作業を10日ほど続けた後、ワインと皮や種を分離します。「圧搾」という作業です。搾り出したワインは、約1年間熟成させて出荷します。
自然派ワイン造りへの思い
(自然派ワイン醸造家/大岡弘武さん)
「何か新しいことをしているわけではなくて、ただ昔からあったものをそのまましているだけで、おいしいものを作りたい。土地も自分たちが引き継いだものを次の世代に汚染されてないままで渡すとか、そういう考え方を持って自然派ワインを造っている」
大岡さんのワイン造りに関する理念は、おいしさの追求ととともに未来を見つめたものです。エッセイにはそうした思いを記しています。
(自然派ワイン醸造家/大岡弘武さん)
「たとえば醸造家が何をもって収穫日を決めているかとか、花が咲いたとき何を思うかとか、そういうことを書いているので、実際にワインをこれから作る人たちも飲む方たちも多分楽しめる内容だと思います」
大岡さんの本は、岡山・香川の大型書店、またはアマゾンなどのオンライン書店で購入することができます。