31日に投開票の衆議院選挙、岡山・香川の注目選挙区・岡山3区についてお伝えします。
自民党の前職と、無所属・新人による「保守分裂」の争いに、立憲民主党と共産党の新人が加わり、4人による激しい選挙戦となっています。
岡山3区に立候補したのは、届け出順に、自民党・前職の阿部俊子さん(62)、無所属・新人の平沼正二郎さん(41)、立憲民主党・新人の森本栄さん(73)、共産党・新人の尾崎宏子さん(65)の4人です。
自民党の前職と無所属・新人の「保守分裂」
(自民党・前職/阿部俊子 候補)
「自民党公認で公明党の推薦もいただきましたが大変厳しい選挙でございます」
(無所属・新人/平沼正二郎 候補)
「非常に厳しい戦いとなっております。報道各紙でもあるように大接戦」
街頭演説で「接戦」を強調する阿部さんと平沼さん。4年前の前回は公認調整がつかず無所属同士で戦い、約3500票差で阿部さんが当選しました。
無所属・新人/平沼正二郎 候補
無所属で2度目の出馬となった平沼さん。経済産業大臣などを務めた父、赳夫さんの引退を受け、前回は公示直前に立候補を決めました。
敗れてからの4年間、県内で最も広い岡山3区を地道に回ってきました。
(無所属・新人/平沼正二郎 候補)
「以前指摘されていたのが知名度不足ということでしたので、前回に比べるとかなり状況は違っているのかなと感じてはおります」
父親から受け継いだ後援会組織に加え、著名な保守系の評論家を応援に呼ぶなど、その人脈も活用しています。
自民党・前職/阿部俊子 候補
2005年、郵政民営化に反対した平沼赳夫さんの対抗馬として自民党が擁立した阿部さん。無所属だった前回と違い今回は党の公認を得ての立候補となりました。
前のワクチン担当大臣、河野太郎さんら知名度が高い議員も応援に駆けつけています。
比例代表にも重複立候補していますが、あくまで小選挙区での勝利にこだわります。
(自民党・前職/阿部俊子 候補)
「小選挙区だと発言力も全く違うので。それはこの中山間地区で皆さんにお育ていただいたことをしっかり発言して実行していくという観点からは非常に重要です」
共産党・新人/尾崎宏子 候補
共産党からは前回に続き、新人の尾崎さんが立候補しました。
農業をはじめとした第一次産業に対する支援策に加え、選択的夫婦別姓制度や男女の賃金格差の是正などジェンダー平等社会の実現を訴えます。
(共産党・新人/尾崎宏子 候補)
「私は女性としてもまた多くの人々の願いを実現する上でもジェンダー平等社会、日本社会を前へ進めていくために頑張っていきたいと思っております」
党の支持者を中心に票を固める一方、街頭演説を1日15カ所ほど行って訴えの浸透を図っています。
立憲民主党・新人/森本栄 候補
立憲民主党の森本さんはこれまで多くの選挙戦を裏方として支えてきましたが、73歳にして初めて立候補。
かつて会長を務めた連合岡山などの支援を受け、連日個人演説会を開いています。
(立憲民主党・新人/森本栄 候補)
「アメリカにしても、ヨーロッパにしても、ニュージーランドにしても、先進国は食糧生産事業者あるいはその農家を直接支援する当たり前になってる。日本だけなんですよ、これをぜひ私は復活しなければならないと思っている」
農家に対する戸別所得補償やコメの価格下落に対する緊急支援金の給付など、地域住民目線の具体的な政策で勝負します。
「保守分裂」の選挙が続く岡山3区――各候補の思いは
いわゆる「郵政選挙」がきっかけで2005年以来、6回にわたり「保守分裂」の選挙が続く岡山3区。野党の候補者2人は冷静に戦況を見つめています。
尾崎さんは安倍・菅政権の新型コロナ対応について「自己責任の押しつけだ」と批判。岸田政権でもその流れは変わらないとして、政権交代を強く訴えます。
(共産党・新人/尾崎宏子 候補)
「岸田政権に対してどのような態度をとっていくかというとそれを推進していく側の方たちですから、あまりどちらがどういうふうな主張をしているかというのは変わりはないというふうに思っております」
一方、2人が保守層の票を分け合う中、勝機を見出している森本さん。
農業政策の訴えへの反応から与党支持層の政権への不満も感じています。
(立憲民主党・新人/森本栄 候補)
「農業をやっている方って意外と保守層が多いんです。保守的な方々がね、立場として。でも『そうだ』って反応が返ってくる。やっぱり今の政治に非常に不満を持っている。(有権者が)意外と冷静に今回を見ているなとは感じます」
(自民党・前職/阿部俊子 候補)
「次世代に平和な日本を送っていく、しっかりと皆様と頑張ってまいります。大統領、大臣と他の国の方とお会いするときにはいつも『この政権はいつまで続くか』というところから話が始まります」
6回目の当選を目指す阿部さんは、外務副大臣を務めた経験から安定政権をつくることの重要性を訴え支持層を固めます。
(無所属・新人/平沼正二郎 候補)
「早急な経済対策・農業対策していかなければ、地方はどんどんどんどんさらに疲弊する。新しい政治をやってしっかりとこの地域地方をもう一度復調させてまいる所存でございます」
41歳の若さを押し出す平沼さんは「新しい地方再生」を掲げ、選挙制度の改革などによる古い政治からの転換を目指します。
岡山県の小選挙区では最多となる4人による選挙戦。投開票は31日です。