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被災の経験を詰め込んだ「防災おやこ手帳」 岡山から全国へ【こつこつ防災】

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 防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」です。
 今回は岡山県倉敷市真備町で活動する団体が西日本豪雨の経験をもとに作った「防災おやこ手帳」を紹介します。コンパクトな中にも被災者の経験や思いがギュッと詰まっています。

被災者の声が詰まった「防災おやこ手帳」

「娘の『怖い』のサインを大切にしてよかった」
「避難した場所から3度の移動で、心も体もボロボロ」

 これらは西日本豪雨の被害にあったお父さん・お母さんの声です。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「西日本豪雨災害の教訓とか後悔を私たちだけのものにするのではなくて……。そのことをどうにかして多くの方にお伝えして、今後もしかしてくるかもしれない災害に備えていただけたらいいなと思って、それを冊子にして届けることになりました」

炊き出しをきっかけに活動を開始

 2018年7月に起きた西日本豪雨で倉敷市真備町川辺地区は多くの住宅が浸水しました。川辺復興プロジェクト「あるく」は、避難所での炊き出しをきっかけに活動を始めました。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「災害後にたくさんの方にご支援いただいたので私たちの一つの『恩送り』になればいいなと」

 「あるく」が2019年の年末に取り組み始めたのが「防災おやこ手帳」づくりです。被災した子育て世代の人々にアンケート調査をしたり、メンバー18人の体験をまとめたりして、2020年10月に完成させました。

全国の人に無料で冊子を配布

 さまざまなメディアに取り上げられたこともあり、これまでに約1万3000冊を全国の人に無料で送りました。読んだ人からは「自分事として考えられる」「分かりやすい」「こういう本がほしかった」などの感想が寄せられたそうです。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「災害に遭ったからこそ分かった、学んだことも盛り込んでいて、よくある防災の冊子とは違ったキーワードとかも含まれているのではないかと思います」

 防災おやこ手帳では、必要な備えとして「3つのキーワード」を挙げています。

キーワード①「マイ避難先」

 1つ目のキーワードは「マイ避難先」です。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「西日本豪雨災害の時には、指定避難所がいっぱいで入れないという方がとても多くいらっしゃいました。自分たちが避難してもいいなと思える場所を3カ所くらい考えておきましょうという、分散避難の一歩進んだような考え方」

 状況に応じた避難先を親子で考えることを勧めていて、友人や親戚の家への「お泊り避難」やホテルなどへの「プチご褒美避難」といった、楽しく考えられるような名前を付けています。

キーワード②「避難スイッチ」

 2つ目は、こうなったら避難するという「避難スイッチ」を決めておくことです。槙原さんは子どもたちのサインを大切にしてほしいと呼び掛けています。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「子どもたちって怖い時は怖いって表現してくれる。それを大人が受け止めて行動に移すかっていうので、その後の命が守られるのかとか、子どもに怖い思いをさせずに避難できるのかというところにつながるのかな」

 その上で、地域の各家庭で「避難スイッチ」を押し合ってほしいとしています。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「みんなで声を掛け合ってみんなで安心して避難できたらいいなと」

キーワード③「持っていくもの」

 3つ目は「持っていくもの」です。冊子では被災した経験をもとにおすすめの避難グッズを挙げています。「あると便利」なブランケットやモバイルバッテリーなどだけでなく、「子ども」のために好きなお菓子やおもちゃなどがあるといいそうです。

(川辺復興プロェクト「あるく」代表/槙原聡美さん)
「避難中、いつもと違う環境の中で緊張して、子どもたちが防災食や食事を取ってくれなかった家庭をちらほら聞いております。だからこそお菓子やジュースを一番に書いてあります」

 現在、槙原さんたちは「防災おやこ手帳」の第2弾を制作中だということです。防災おやこ手帳は無償で配布しています。必要な方は下記の電話番号に連絡してください。また、支援を募っています。

〈電話番号〉080-5752-0111

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