防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」です。
75年前の12月21日は昭和南海地震が発生した日です。この地震では岡山・香川でもそれぞれ50人以上の死者が出ました。この地震の記憶とともに今後必ず来る「南海トラフ地震」について考えます。
南海トラフで起きた「昭和南海地震」
1946年12月21日に発生した「昭和南海地震」。気象台によると香川県では最大震度5、岡山県では最大震度6を観測。
房総半島から九州にかけて広い範囲を津波が襲い、全国で1362人が亡くなりました。岡山県では52人、香川県でも52人が亡くなりました。
この昭和南海地震は太平洋沖に伸びている南海トラフで起きました。
南海トラフを震源とする地震は周期的に発生しています。記録が残っているものでは90年から150年の間隔で起きています。
「昭和南海地震」から75年が経過した今は、今後30年以内に70から80%の確率で南海トラフ地震が起きるとされています。
(香川大学 地域強靭化研究センター/金田義行 センター長)
「きょうあす来る、という意味ではないですけどいつか必ず来る」
大きな揺れがくるまで十数秒……あなたはどうする?
香川大学・地域強靭化研究センターの金田センター長は「想定すること」の大切さを訴えています。
南海トラフ地震が発生した場合、岡山・香川は比較的震源から遠いため、緊急地震速報が鳴って大きな揺れが来るまで十数秒の時間があるとみられています。この十数秒間でみなさんは何をしますか?
(香川大学 地域強靭化研究センター/金田義行 センター長)
「その十数秒を短いと感じるのか長いと感じるのか、どう有効利用するか、そこがポイントですよね」
身を守る3つの基本行動は「まず低く」「頭を守り」「動かない」ですが、金田さんは周囲の状況次第では大きな揺れの前に逃げる準備をした方がいい、と考えています。
(香川大学 地域強靭化研究センター/金田義行 センター長)
「まず窓を開けるとかドアを開けます。周りに倒れてくるものがない前提で。早く逃げられるようなスペースを確保するというのは大事だと思っています」
その後、大きな揺れがきます。香川県では最大で震度7、岡山県では震度6強が想定されています。揺れによる被害がなかったとしても「津波」への警戒が必要です。昭和南海地震では岡山・香川にも津波が到達しました。
「複数の避難場所」「複数の避難の仕方」を考えて
香川県のシミュレーションでは、岡山・香川への津波は最も早い東かがわ市で約1時間半後に到達します。車での避難は渋滞を引き起こすので徒歩での避難先を考えておくことが大切です。
(香川大学 地域強靭化研究センター/金田義行 センター長)
「複数の避難場所、あるいは複数の避難の仕方をあらかじめ考えておかないと、起こってから考えるのは無理ですから」
必ずやってくる南海トラフ地震。皆さんはどこまで具体的にイメージできていますか?
南海トラフ地震が発生した場合、岡山・香川の各地で想定されている最大の津波の高さをみてみると、最も高いのは高松市の3.8メートルです。岡山県では笠岡市や倉敷市で3.2メートルと予想されています。
一方、液状化などの影響で津波の前に浸水が始まっている可能性もあります。
南海トラフ地震は必ずやってきます。一人一人がいざという時の対応を想定しておくことが大切です。