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東日本大震災から11年 臨床心理士が語る…被災自治体の苦悩【こつこつ防災】

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 2022年3月11日で東日本大震災から11年が経ちます。震災の後、被災地で臨床心理士として自治体職員の心のケアをしていた男性が香川県にいます。男性が感じた被災自治体の職員の苦悩とは……

11年経った今でも「過去のものではない」

(香川大学医学部 臨床心理学科/野口修司 准教授)
「震災から11年というふうに考えた時に、特に役所の方々は復興の業務としてすごく大変な時間が続いてて、全然過去のものではないんです」

 香川大学医学部 臨床心理学科の准教授、野口修司さん(38)は、東日本大震災が起きた時、仙台市にある東北大学大学院で臨床心理学について学んでいました。既に臨床心理士の資格を取っていた野口さんは、大学院のメンバーとともに避難所などを回りました。

(香川大学医学部 臨床心理学科/野口修司 准教授)
「できることをさせていただいていたんですけが、その中の一つとして、行政の方の支援が始まったという状況で。一つが石巻市役所だったんですね」

 宮城県石巻市役所がある市中心部は全域が浸水。亡くなった方は関連死を含めて3553人に上ります。さらに417人の行方が分かっていません。(2021年10月末現在)

石巻市役所のカウンセリングで感じた「使命感」

 野口さんは震災の1年後、2012年5月から約6年間、専任の臨床心理士として石巻市役所の職員のカウンセリングにあたりました。

(香川大学医学部 臨床心理学科/野口修司 准教授)
「自分の家とか自分の家族がどうなってるか分からないという中でも役所に泊まり込みで業務にあたらないといけないという人もいましたし、罪悪感でもあったと思うんですけど、家族も大変な思いをしている中、家族のことを放って、仕事だから仕方ない部分もあるかもしれないが、復興業務にあたらないといけないことの葛藤を抱えていらっしゃった。やはり皆さん公務員としての使命感を持っていらっしゃるなと感じました」

 それでも、市民の不満や怒りが職員に向けられることもありました。

(香川大学医学部 臨床心理学科/野口修司 准教授)
「かなりそういった部分で精神的に疲弊されてしまった方がいらっしゃったというのは、自治体の方ならではの特徴で」

 そのような状況を目の当たりにした野口さんは、心のケアや相談方法などをまとめたパンフレットを作りました。

(香川大学医学部 臨床心理学科/野口修司 准教授)
「6年間で計4冊作ったんですけれども……全職員の方向けと、管理職の方向け。当時の状況は無理するなって言えないんですよね、無理しないと終わらないという状況がある中。じゃあどう言うのが良かったのか、伝えていたのは『無理しすぎるのはやめましょう』」

復興にあたる人たちを支えるには……

 大きな災害が起きた場合、支援や復興にあたる人たちも被災者であることが想定されます。そのような人々をどう支えていけばいいのか、野口さんも答えは導き出せていません。

 野口さんは被災地での活動を通して、苦しい時こそ「人とのつながり」が本当に大切だと感じたそうです。また、厳しい言葉をかけられる自治体職員の姿をみて「相手の立場になって考える想像力」を日頃から持っておいてほしいと話していました。

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