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【解説】なぜツーブロックは禁止? 生徒主体で“ブラック校則”を「自分で考える校則」に 岡山

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 近年、時代に合わなくなった内容や合理的な理由を説明できない校則、いわゆる「ブラック校則」を見直す動きが全国的に広がっています。そうした中、岡山県瀬戸内市には生徒全員で話し合い、校則を変えた中学校があります。その過程で生徒たちが身につけた力とは。

 パークKSBアプリでは皆さんに「見直してほしい校則があったか」聞いてみたところ、「スカートの長さの規定が嫌だった」「靴下が白か黒でないといけなかった」「リップクリーム禁止」など、年代問わずさまざまな意見が寄せられました。

 2021年6月、文部科学省は一部の校則が「必要かつ合理的な範囲」を逸脱しているという指摘を受けているとして、各地方の教育委員会などへ「学校や地域の実態に応じて校則の見直し等に」取り組むよう求めました。

 こうした中で、瀬戸内市には生徒が主体となり、校則の見直した中学校があります。

生徒が主体となり、ある「校則」を見直し

 瀬戸内市の邑久中学校。2022年度、ある「校則」を見直しました。それは――。

(邑久中学校 生徒会長/有安百々果さん[3年])
「校則について思っていることはありますかっていうふうにアンケートを行ったんですけど、その中で髪の毛の校則に関する意見『何でだろう、どうしてだろう』っていう意見があったので」

 邑久中学校では「男子」は頭の側面の髪を刈り上げて段差をつくる「ツーブロック」を禁止、女子は肩に髪の毛がつく場合は結ぶと決まっていました。

 生徒からの意見を受け、有安さんら生徒会中央役員のメンバーは行動に移します。

「校則でツーブロックを禁止していますか?」
「はっきりしたツーブロックは禁止されています」

 オンラインで話を聞いているのは岡山市内の高校生。県内の高校や近くの事業所などに「髪形」についてインタビューしました。

(邑久中学校 生徒会長/有安百々果さん[3年])
「『現在どのような髪の毛の校則があるのか』とか、『中学生がツーブロックしていることに関してどのように思っているのか』とか、『入試に影響はあるのか』とか質問を行って」

 インタビューの結果、ツーブロック禁止の高校もあれば生徒たちに任せている高校もありました。また、事業所からはツーブロックも程度によっては爽やかに見えると好意的な意見もありました。

 この結果などを踏まえ邑久中学校では5月、全生徒をオンラインでつないで生徒総会を開催。賛成多数で校則の見直しが決まりました。

(邑久中学校 生徒会副会長/片山祐さん[3年])
「一人一人の意見を集めてそこから検討していくという流れの中で、一人一人の思いを生徒会としては受け止められたのが良かったと思います」

(邑久中学校 生徒会副会長/藤森奏葉さん[3年])
「昔からの伝統を変えるっていうことをいいふうに捉える人もいれば、それは残した方がいいんじゃないかっていう意見もあったので、そこをまとめていくのが難しかったんですけど、そんな考えを知れて良かったですし、そんな考えも尊重しようと思いました」

 見直しの結果決まった新しい校則では、ツーブロックなど具体的な髪型には触れず、「目的や場所に応じて自分で髪型を考える」としました。一方、髪の毛を染めたり、パーマをあてることは引き続き禁止にしました。

 こうした生徒たちの取り組みを学校側も好意的に捉えています。

(邑久中学校/藤森卓麻 校長)
「なかなか話題にはよく上るんですけど、とっつきにくいところではあったんですけど、子どもたちがそうやって出してきたのでこちらも応えないといけないというのはありました」

 邑久中学校では2020年度から校則の見直しに取り組んでいて、これまでも生徒主導でマフラーやひざ掛けの禁止を撤廃するなどしてきました。

 目標に掲げているのは「将来自立した社会人になるための力を身につける」ことです。

(邑久中学校/藤森卓麻 校長)
「このルールはそもそも何のためにあるのかとか、命を守るためとか、人権を守るためとか、気持ちよく生活できるためとか、そういったことを理解した上でルールを守っていくことが大事だと思うので。今回も(髪型を)緩めたような形にはなるかもしれないですけど、その分自分たちで考えないといけない部分が出てくるので、これからが大事かなとは思います」

高松市教委は校則見直しの「ガイドライン」を作成

 「校則の見直し」に関しては2021年11月、高松市教育委員会が「ガイドライン」を作成しました。

 ガイドラインでは「必ず見直すもの」として、①性の多様性やさまざまな文化への配慮に欠けるもの、②健康上の配慮に欠けるもの、③合理的な説明が難しいと思われるものの3つを挙げました。

 そして6月、高松市教委は2021年度の各学校の見直し状況をまとめました。

 小学校で多かったのは「服装」に関するものです。ベストやカーディガンなど「防寒着」の規定を緩和したり、靴下の色を「白」1色から、「黒」や「紺」なども可能にした学校がありました。

 中学校では服装に加えて「ツーブロック」やいわゆる「パッチンどめ」を認めるなど、髪形に関する見直しが多かったそうです。

 高松市教育委員会は今後も児童生徒や保護者、学校側が話し合いながらそれぞれにあった「校則」を考えてほしいとしています。

校則を考える上で意識すべきことは?

 校則を考える上でどのようなことを意識すればよいのでしょうか。専門家に話を聞きました。

 生徒指導などについて研究する岡山大学の青木多寿子教授。校則の研究のため訪れたアメリカでは、日本と比べて学生たちが自由な服装をしていたそうです。

(岡山大学/青木多寿子 教授)
「(アメリカの考え方は)『子どもたちにとって一番大事なことは学校に来ること』。例えば髪の毛が金色のほうが子どもが来やすいんだったらそれでも構わない。ただしですね、どんな服装でもいいかっていうのは決してそうではなくて、ルールがあるんです」

 アメリカの校則では日本のような髪型や服装に具体的な指定は多くありません。しかし、性的な連想をさせる服装やタバコ、武器の持ち込みなど、社会でのルールや常識を外れることについては細かく明文化しています。

(岡山大学/青木多寿子 教授)
「基本的に校則というのは『社会に出て通用する人になるための練習』であるほうが良いと思っています。自分たちにふさわしい服装って何なのだろうかというのを考える力を養うようなものがいいんじゃないかな」

 国内で校則見直しの動きが広がる中、生徒主導で改正することで、社会で生きるための力を養えると考えています。

(岡山大学/青木多寿子 教授)
「自分たちの学校のルールを自分たちで決めたという成功体験があると、社会に出たら社会の地域のルールを自分たちで決めようという活動にもつながると思うんです。校則を通してそういう意識を学んでもらえたら、すごくいい教育になるんじゃないかな」

「子どもたちの意見を聞くからといって子どもたちの言いなりになる必要はないと思うんです。大人のほうが知識と知恵と経験を持っていますので、『なんでこういうルールにしたいのか』っていう方針を伝えていって、そして意見を交わすことが重要だと思います」



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