防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」。今回は、小さい子どもがいる家庭の備えについて考えます。
母親向けの情報を発信、共有するアプリで行った防災に関するアンケートでは、「備蓄などの災害対策をしている」と答えた人は約3割でした。
そのうち、子ども向けの備蓄をしていると答えた人は3割弱にとどまり、「避難所で生活できるか不安」「子どもの年齢によって変わる」「何をどれくらい備蓄すべきか」などのコメントが寄せられました。
離乳期の子どもは特に食べるものが限られますが、岡山県の大学生が離乳期の子どもがいる家庭に向けたハンドブックを作りました。
ノートルダム清心女子大学の学生らが作った「離乳中の赤ちゃんがいるご家庭の防災ハンドブック」です。
対象としているのは、生後5カ月から1歳半ぐらいの子どもがいる家庭で、ハンドブックでは離乳初期、中期、後期に分けて、備えておいた方がいい1日分の非常食を紹介。
栄養バランスも考えて、離乳食のほかにリンゴジュースを用意することを提案しています。
「防災ハンドブック」を作ったきっかけは1人の学生の経験でした。
(ノートルダム清心女子大学 食品栄養学科/山下美保 准教授)
「学生が、自分が住んでいる地域でも災害があって、離乳中の1歳から1歳半ぐらいの赤ちゃんに対する防災の指針みたいなものがないから、それについて卒業研究を取り組んでみたいと」
「防災ハンドブック」は学生が「卒業論文」としてまとめたものです。
一緒に作った山下准教授も、2018年の西日本豪雨で実家が被災しました。
(ノートルダム清心女子大学 食品栄養学科/山下美保 准教授)
「学生も私も、それだけのことがあったにもかかわらず、防災に対する取り組みがまだ具体的にあまり進められてないなっていう、そのハードルの高さっていうのを感じていたので」
2016年の熊本地震では、パンやカップ麺などは比較的早く届いたものの、ベビーフードなど子ども向けの食材が届いたのは発生から10日後だったそうです。
「防災ハンドブック」では、持ち出し用も含めて少し多めに備えておくことを提案しています。
また、山下准教授が乳児期の子どもがいる家庭に準備してほしいと考えているのが「液体ミルク」。
災害時は母乳が出なくなることや、お湯を沸かす手段がないことが想定されるためです。
(ノートルダム清心女子大学 食品栄養学科/山下美保 准教授)
「そこまで余裕がない家庭がほとんどだろうと思うけれど、できるところからでいいので備えをして、その備え自体よりは備えをしたっていうことで、災害に対する心構え、前向きに取り組むような気持ちを持ってもらえたら、ものすごく考えた甲斐があるなと思います」
「防災ハンドブック」はノートルダム清心女子大学のホームページで公開されています。