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【解説】電気料金高騰の理由は? 大手で相次ぐ値上げに新電力会社も正念場 岡山・香川

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 私たちの暮らしに必要不可欠な電気。その料金が高騰しています。なぜ料金が上がっているのか、今後どうなっていくのかお伝えします。

燃料価格高騰で値上げへ 電気料金の決め方は?

(四国電力/長井啓介 社長)
「あらゆる合理化、効率化を積み重ねたとしても前年度を大幅に上回る赤字を計上せざるをえない状況となっております」

 10月、四国電力の長井啓介社長は2022年度の連結経常損益が300億円の赤字となる見込みを示しました。大幅な赤字の最大の要因は、燃料価格の高騰です。

 苦しい経営状況を受けて四国電力は、「オール電化」住宅向けの料金プランを11月から事実上、値上げすることを決めました。さらに、「オール電化」以外の料金プランについても2023年春からの値上げを検討しています。

 そもそも電気料金は大きく4つの要素で決まっています。

(四国電力 営業推進本部/山本拓生 リビング営業部長)
「『基本料金』、それと毎月のお客様のご使用量に応じての算定する『電力量料金』。そこに今は『再生可能エネルギー発電促進賦課金』。でさらに『燃料費調整制度』というのがありまして」

 このうち、「実質値上げ」に大きく関わるのが「燃料費調整制度」です。

 「燃料費調整」は「平均燃料価格」を電気料金に反映する仕組みです。基本的に「平均燃料価格」が上がれば電気料金は上がり、逆に下がれば電気料金は下がりします。ただし、四国電力は契約者を守るために、電気料金に反映させる「平均燃料価格」の上限を全てのプラン一律で3万9000円に設定していました。「上限」を超えた分は四国電力が負担します。

 そんな中、世界的な「脱炭素」の流れで化石燃料の供給量が減少、2021年4月ごろから燃料価格が上昇していました。さらにウクライナ情勢の緊迫化などでその傾向に拍車がかかりました。四国電力では2022年4月以降、「上限」を超え続けていました。

(四国電力 営業推進本部/山本拓生 リビング営業部長)
「燃料費の高騰、これがなかなか落ち着く気配がないと言いますか、非常に長期化しております。このまま今の状況が続くと、我々の電力の安定供給といったところにも支障を出しかねない」

 これを受けて四国電力が決めたのが、オール電化住宅向けのプランにおける「上限の撤廃」でした。

 平均燃料価格を電気料金に反映するときに用いられるのが「燃料費調整単価」です。平均燃料価格の上限を3万9000円としていた10月分までの燃料費調整単価は、1キロワットアワー当たり「2円55銭」でした。

 しかし、上限が撤廃された11月分は「10円47銭」と8円近く値上がり。四国電力が平均的なモデルとしている月600キロワットアワーほど使う家庭では、4800円ほど値上がりする、という結果になります。

電力会社 燃料価格高騰で「規制料金」も値上げの動き

 四国電力の家庭向け料金プランは、11月に実質値上げされたオール電化住宅向けのもの(でんかeプランなど)と、「それ以外」に分けられます。さらに「それ以外」のプランも、電気を多く使う人にとってお得なプラン(おとくeプランなど)と、一般的なプラン(従量電灯Aなど)に分かれます。

 この2つについても四国電力は、2023年春からの値上げなどを検討しています。ただし、この一般的なプランのうち「従量電灯A」などは「規制料金」に分類され、値上げには国の認可が必要です。

 この「規制料金」を巡っては、中国電力や東北電力、北陸電力は2023年春から値上げ申請する方針を明らかにしています。大手電力会社が「値上げ」という苦渋の判断を迫られる中、「新電力」と呼ばれる電力会社も正念場を迎えています。

大手で相次ぐ値上げ 新電力会社も正念場

(岡山電力/平井敬明 取締役)
「これだけ原価が上がって、エネルギー価格が高騰している中で電気代を下げるっていうことは目的としては難しい」

 岡山市に本社がある新電力会社、「岡山電力」は2017年4月に電力の「小売り事業」を始めました。

 中国電力、四国電力などの「大手電力会社」は発電・小売りなどを行いますが「岡山電力」などの新電力は主に「小売り」を行います。

(岡山電力/平井敬明 取締役)
「とにかく今の新電力の問題は、仕入れをしっかりとできるかどうか。日本の発電ってほとんどが大手電力さんが持っているので、ここがやっぱり弱くなってしまうと、電力業界全体が影響を受けてしまうっていうのが現状ですね」

 民間の信用調査会社、帝国データバンクの調査では、2021年4月時点で全国に706社あった新電力会社のうち、2022年6月8日までに104社が電力事業を停止または撤退しました。特に3月末からの2カ月余りに集中しています。燃料価格の高騰に伴う「電力市場の混乱」が主な要因とされています。

 そんな中、「地域密着」を掲げる岡山電力は、地元の中小企業を中心に小売り事業を展開しています。今後、新電力会社が生き残るには安定性と競争が大事だと考えています。

(岡山電力/平井敬明 取締役)
「インフラですから、高い安いというよりもまず、安定的に電気を供給することができる。いろいろな業種業態の方が参入しているので、サービスの競争になっていくことがこれから大事なんではないかなと思います」

燃料価格の高騰受け ガス料金も値上がり

 値上げの波は電気だけでなくガスにも押し寄せています。

 岡山ガスが発表した12月検針分のガス料金は、標準家庭で11月より364円上がりました。岡山ガスでは16カ月連続の値上げです。標準家庭の場合で2021年8月と比べると1900円近く上がっています。

 また、四国ガスは標準家庭の場合、12月検針分の料金は11月よりも281円上がりします。四国ガスは11月分から原料費調整制度の上限を撤廃し、上限を超えた分の50%を料金に反映させるとしていました。

 全国的に電気やガスの料金が上がる中、国は10月に発表した「総合経済対策」に、電気・ガス料金の負担軽減策を盛り込みました。

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