香川県のゲーム条例をめぐる2つ目の裁判に判決です。元高校生らが「条例は憲法違反だ」と訴えた裁判に被告の県が支払った弁護士費用が不当だとして住民が返還などを求めた裁判で、高松地裁は原告の訴えを退けました。
香川県のネット・ゲーム依存症対策条例をめぐっては、高松市出身の元高校生と母親が「条例は憲法違反」だとして県にあわせて160万円の損害賠償を求める裁判を2020年に起こしました。
2022年8月、高松地裁はゲームの利用時間の目安を定めた条例は努力目標で、原告側に権利の制約を課すものではない、などとして「合憲」だと判断し、原告側の訴えを退けました。原告側が控訴せず、判決は確定しています。
この裁判で、被告の香川県は顧問弁護士に加え、東京と愛知の弁護士に代理人を委任しました。
契約書によると、着手金は3人あわせて161万7000円。勝訴を受けてあわせて323万4000円の報酬金も2022年12月に支払われました。
元高校教師やITエンジニアら県民5人は、2021年10月、この弁護士費用について「県の裁量を逸脱、濫用した違法な支出だ」として県に対して着手金の返還と報酬金の支払い差し止めを求める住民訴訟を起こしました。
26日の判決で高松地裁の天野智子裁判長は、「被告の香川県が守るべき利益は請求金額の合計にとどまらず、条例の憲法適合性という重要なものだ」、「争点が多数で分担して訴訟に対応する必要があった」と指摘。
代理人の人数や報酬額の算定に違法性は認められないとして原告側の訴えを退けました。
(記者リポート)
「原告側は、憲法違反の条例に弁護士費用を支出するのは違法だと主張していましたが、今回の判決は条例が憲法違反かどうかについては踏み込みませんでした」
(原告 元高校教師/松崎光成さん)
「ゲーム条例そのものが憲法に違反している部分があるか、違法な部分があるかどうかという判断から逃げた、残念な判決。理由も書いてないんですね」
原告側は控訴する方針です。
被告の香川県は「県の主張が認められたと認識している。引き続き、県行政の適切な運営に努めてまいります」とコメントしています。