Park KSBアプリに寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。今回は「お風呂」に関するハテナです。
4月26日は日本入浴協会が指定する「よい・ふろ」の日です。疲れているとき、ほっと一息つきたいとき、お風呂で癒やされたい……という人もいるのではないでしょうか?
「お風呂に入る理想の時間や 温度はありますか?」(岡山市 でら 31歳)
20年にわたってお風呂の入り方を研究している東京都市大学の早坂信哉教授に話を聞いてみました!
(東京都市大学/早坂信哉 教授)
「お風呂の最大のメリットは体が温まるということなんですね。これが疲れが取れたりっていうことの理由になる」
早坂教授によると、お風呂に入り体が温まることで血管が広がり血液の流れが良くなります。そうすると全身に必要な栄養や酸素が運ばれやすくなると同時に、いらなくなった老廃物を取り除いてくれる効果があるとのことです。
一方、単純に「温めればいい」というわけではないそうです。
「例えば42℃以上になってきますと自律神経のうち、交感神経という神経がスイッチが入ってしまって、逆に体が興奮してしまって疲れてしまう」
人間の体内にある自律神経には交感神経と副交感神経があり、早坂教授はこの2つのバランスをうまく切り替えることが疲労回復のカギになるとしています。
交感神経は緊張状態、副交感神経はリラックス状態を担い、仕事中などは交感神経が睡眠などは副交感神経が優位の状態にあります。
熱いお風呂に入ると、この交感神経にバランスが傾いて「興奮状態」となってしまい「リラックス状態」ではなくなってしまうということです。
また、お風呂に入る時間の長さについては「汗」を目安にするといいそうです。
「お風呂に入っていると、よく気を付けると額とか鼻の頭に汗をかいてくるというのがわかるんですよね。これくらい汗をかいてくると体温で言うとだいたい0.5℃くらい上がっているという状態で、もう血液の流れは十分よくなったというサインなので、その状態になったら一旦上がってもらうというのがいいと思います」
これらを踏まえて、早坂教授がおすすめする入り方は……。
「基本的な入り方としてはお湯の温度は40℃、お風呂に入る時間は10分間、できれば肩まで全身浴で、『40℃・10分間・全身浴』をおすすめしています」
「いつもはシャワー派ですが、湯船に入るといい理由はありますか?」(高松市 よっちゃん 51歳)
「やはり疲れの取れ方とかがだいぶ違うんですよね。シャワーの場合ですと、体を温める効果というのがほとんどないんですよね。そのために血液の流れも改善するということが少ないんですよね」
シャワーを浴びることで汗を流し、体をきれいにすることはできますが、体が十分に温まらないため疲労回復の効果は低くなります。
また、早坂教授らの研究ではこんなデータも……。
「長期的な話をすると、毎日湯船に入る方というのは将来の要介護状態になってしまうということをなんと29%もリスクを下げてくれるということも最近わかってきている。将来の健康のためにも毎日湯船につかった方がいいということになります」
「毎日は湯船につかれない」という人に早坂教授がおすすめするのが……。
まずは週に1回でも家のお風呂や銭湯などに入る。また、湯船の栓をしめて湯船の中でシャワーを浴びることです。こうすることで足からも温まり体を温める効果を高めることができます。
また、15分ほどシャワーを浴びると湯船1杯分ほどの水を使うことになります。複数人が長めにシャワーを浴びる場合には湯船につかった方が経済的にも効率がいいかもしれません。
「お風呂でリラックスする 効果的な入り方は?」(岡山市 あるみ1124 53歳)
「最高にリラックスできる方法としては、一つは香りなんかを楽しんでいただきたくて、それで電気を消して少し目を閉じて静かにしていただく」
早坂教授のおすすめは洗面器にアロマオイルをたらして自分の好きな香りを楽しむこと。香りがある入浴剤を入れることも効果的だということです。
また、可能であれば風呂場を暗くして目を閉じてゆっくり腹式呼吸をしたり、またリラックスできる曲を流したりするとより効果が高まるとしています。
「お風呂は自宅にある最高の健康増進装置ですので、将来にわたっても健康づくりに役立ちますので毎日入っていただければと思います」