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【特集】「どこで産めばいいのか」岡山・井笠地区唯一の産婦人科施設が閉院…影響や自治体の対応は?

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 岡山県西部、井笠地区から広く妊婦を受け入れてきた笠岡市の産婦人科専門のクリニックが2023年いっぱいで閉院します。閉院後は、帝王切開などの医療行為ができる施設が井笠地区からなくなるため、影響が懸念されています。

産婦人科閉院で影響は?

 笠岡市の産婦人科医院、「西井ウイメンズクリニック」は、笠岡市、井原市、浅口市、矢掛町、里庄町を合わせた井笠地区で唯一、陣痛促進剤の投与や帝王切開などの医療行為が可能な産婦人科施設です。

 井笠地区全体から妊婦を受け入れてきましたが、2023年いっぱいで閉院することをホームページ上で公表しました。

 ホームページによると出産予定日が11月末までの妊婦は受け入れ、それ以降については他の病院で出産できるよう紹介状を書くとしています。

 笠岡市によりますと井笠地区で2021年に生まれた子どもは680人です。クリニックでは里帰り出産などを含めて年間で350人ほどを受け入れています。

 クリニックはKSBの取材に対し、閉院の理由を語りませんでした。

 笠岡市の「くにさだ助産院」。年間30人ほどの赤ちゃんがここで生まれています。

(助産院の利用者は―)
「全然違います、病院と。上の子と一緒に産めるのがうれしくて。小学校一年生だから全部は多分覚えてないだろうけど、一部でも印象に残ったこととか弟に対しての思いが違うだろうなと思って」
「(新型コロナ禍の中で)家族で(助産院の)2階に泊まれた。それがお兄ちゃんもいい思い出だし、私もいい思い出」

 しかし、助産院は医療行為ができないため、不測の事態が起きたときは提携している倉敷市の病院に妊婦を搬送しています。

(くにさだ助産院/国定由美子 助産師)
「逆子であるとか早産であるとか双子であるとか、その辺は(対応は)だめなんですけど、大概の方が健診もちゃんとみてくれて、問題なく助産院で産めている。血が止まりにくいのは予測不可能なので(提携病院は)夜中電話しても受け入れてくれる」

 笠岡市で唯一の市民病院は医師の高齢化を理由に2018年11月以降、出産には対応していません。

(笠岡市/小林嘉文 市長)
「『私はどこで産めばいいんですか』ということを皆さん心配されるだろうなと、対策をとらないといけないと強く思いました」

 専門家は「他の地域でも同じようなケースが増えるだろう」と話します。

(岡山大学病院/増山 寿 副病院長)
「(小さい施設は)1人でやっているから24時間365日離れることができない状況にあるとか、日本の周産期医療はこの50年間そういった形で何とか維持してきたところがあるけど、これ以上無理じゃないかというのが一般的な考え方」

産婦人科ゼロの地域 対応は?

 2023年いっぱいでの閉院が決まった井笠地区で唯一の産婦人科専門のクリニック。閉院後、井笠地区には帝王切開などに対応できる施設がなくなります。

 こうした状況は岡山県の他の地域ですでに起きています。

 岡山県の分娩ができる医療機関をまとめた地図では、岡山市と倉敷市の周辺に集中しているのが分かります。県の東部には施設がなく、津山市を除く県北にもほとんどありません。

 専門家は、リスクが高まる高齢出産への対応や医師の働き方改革を踏まえると、小さな施設が全てに対応するのは難しく、妊婦が自治体をまたいで大きな病院で出産するケースが増えるのではないかと話します。

(岡山大学病院/増山 寿 副病院長)
「妊娠中・産後ケアはその地域でするけれども、分娩は近くの大きな病院で分娩をする形を進めていく、機能分担をしていくのがこれから先の妊娠・出産の新しいあり方」

 そこで問題になるのが「緊急時の搬送手段」です。

 井原市と矢掛町は10月10日、妊婦の緊急時に救急車で搬送する制度の運用を始めました。

 利用者は、出産予定の施設と予定日を事前に登録することで、緊急時に119番すると、スムーズに救急搬送してくれるということです。

 岡山大学病院の増山副病院長によりますと一般的な出産の場合は1時間ほどの搬送であれば、妊婦と子どもに大きな影響はないということです。

(登録した人[妊娠5カ月])
「これから産休に入ったときに1人で過ごす時間も増えてくるので、そういう時に安心材料になればいいなと思って登録しました」

(井原市 健康医療課/中新純史 課長)
「少しでも不安がなくなるように安心安全ということで、井原市として妊婦さんをサポートしていきたい」

 一方で、笠岡市・浅口市・里庄町では緊急時の搬送をどうするかまだ決まっていません。

(笠岡市/小林嘉文 市長)
「いつなんどきでもしっかり相談できる体制をつくって、救急などほかに連携を取りながら、安心して搬送して出産できる体制を整えていきたい」

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