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なぜ正月に餅を食べる?なぜ冷めたら硬くなる? 専門家が「餅」の疑問に回答【みんなのハテナ】

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 皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。11日は「鏡開き」ということで、今回は「お餅」に関するハテナです。

 お正月の食べ物の定番、「餅」。4日、高松市の寺では恒例の餅つき大会が開かれました。

(餅つき大会参加者)
「(Q.お餅お好きですか?)大好きです」
「(Q.お餅ついてみてどうだった?)初めてやったけど、楽しかった」
「(Q.お正月にお餅食べる?)結構、1日2、3個くらい」

 そんな餅についての最初の疑問は……。

「なぜ、正月にお餅を食べるのですか?」(赤磐市 ターボ 63歳)

 この疑問について、ノートルダム清心女子大学で栄養学などを研究している小林教授に聞いてみました。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「年神様を迎えて、新しい年を迎えて、新しくまた私たちが生命力をいただいて、次の新しい年を生きていこうという意味合いが、今の正月行事は一般的です。その中で、神様が宿っているのが鏡餅。神様が宿る生命力を私たちがいただいて、新しい年を迎えるということに、そのために餅を食べるということになります」

 小林教授によると、正月に餅を食べる風習が庶民の間で定着し始めたのは江戸時代あたりだということです。

 また、神様の魂が宿るとされる鏡餅。これを割って「餅玉」として家族に分け与えたのが『お年玉』の起源だとも言われています。

「鏡餅の飾り方とその意味は?」(坂出市 カワウソ 63歳)

 小林教授は、地域によって飾り方はさまざまだとした上で……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「お正月って縁起のいいものをいろいろ飾りますよね。三種の神器の一つは銅鏡。その鏡をお餅にかたどったのが、いわゆる鏡餅になる」

 また、「鏡餅」といえば一般的にミカンを上に乗せますが、これについては……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「あれはもともとは橙なんです。橙自体は勾玉を表している。橙は『代々栄える』というか、代々家が栄えるように」

 これに加えて、関西では串に刺した干し柿を飾るところもあります。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「三種の神器でいう剣、つるぎを表していたりとか」

 こうすることで、「鏡」「勾玉」「剣」と三種の神器がそろいます。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「三種の神器をかたどることができるので、年神様の魂が宿る場所としては適したものになるのではないかな」

「きねでついた餅と餅つき機でついた餅の違いは?」(観音寺市 かずちゃん 60歳)

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「杵つき餅っていうのは、粘り気があるのが特徴的。機械でやるようなものは比較的軟らかい」

 小林教授によると、食感の違いは、もち米のつぶれ方の違いから生まれるそうです。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「きねつき餅っていうのは、一定の力で臼の中をトントンとついていきますよね。そうすると、お米の構造の軟らかい部分と硬い外層の部分も比較的、均一によくつぶれてくる。それに対して、機械でつくような餅っていうのは、軟らかい内層の部分はよくつぶれるんだけれども、外層の部分が残りやすくて、均一性に欠ける部分がある」

 きねでつき、もち米が均一につぶれた場合は、中の空気が押し出され密度が高く粘り気がある餅に。一方、機械でついてつぶれ方が均一ではない場合、中に気泡が残るため比較的軟らかい餅になるそうです。

「なぜ冷めたら硬くなるのか不思議」(美作市 トラック野郎 59歳)

 この疑問について小林教授は……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「でんぷんが老化をするからなんですね」

 餅は主に『アミロペクチン』というでんぷんでできています。このでんぷん、生米の状態だと……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「分子構造が整列していて、非常に密になっているので、本来生でんぷん食べられないんですよ。消化しないんです」

 一方、これを蒸すなどすると……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「でんぷんの分子の中に水を入り込ませてほぐした状態のでんぷん(になる)。『糊化でんぷん』っていって、それで初めて消化できるんですよ」

 私たちが一般的に食べている餅は、この水分を含んだ『糊化デンプン』の状態です。しかし、長時間放置しておくと……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「その中の分子の中に含まれている水分子が出て行っちゃうんですね。そうすると、でんぷんがいわゆる生でんぷん、消化しづらいでんぷんのようになって、結果的に硬くなる」

 でんぷんに含まれる水分量が変わることで、餅の硬さが変わるということです。

 そして、11日は「鏡開き」。小林教授は正月のお餅について……。

(ノートルダム清心女子大学/小林謙一 教授)
「やはり正月の縁起物ですし、新しい、それこそ元々の本来の意味の生命力をアップデートするために神様の魂をいただいて、新しい生命力を、ということで食べてもらえればな」

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