岡山県瀬戸内市にある国立ハンセン病療養所の入所者を主人公にしたドキュメンタリー映画が完成し、2月、試写会が開かれました。
(予告編)
「『患者は絶望なんかしていない』というところを残したいんです」
瀬戸内市の国立ハンセン病療養所長島愛生園。2月26日、入所者の宮﨑かづゑさん、96歳を主人公にしたドキュメンタリー映画「かづゑ的」の試写会が開かれました。
法律によって、すべてのハンセン病患者を療養所に収容していた「強制隔離政策」の時代。
かづゑさんは家族に差別が及ぶことを負い目に感じ、わずか10歳で長島愛生園に入所しました。
若い頃には患者同士のいじめや差別に遭い、病気の影響で足の切断を余儀なくされるなど過酷な経験をしたといいます。
それでも、かづゑさんに寄り添い続けた母親や、療養所で結婚した夫らが心の支えとなり、96年の人生を力強く歩んできました。
(宮﨑かづゑさん)
「かづゑが来たよ。もうすぐ帰ってくるから待っとってな」
映画を手掛けたのは熊谷博子監督です。
熊谷監督はかづゑさんのありのままの姿や言葉を2016年から8年にわたって取材しました。
(宮﨑かづゑさん)
Q.人生を振り返って
「嘆くなどということはとてももったいなくて、申し訳なくて、関わってくださったたくさんの皆さんに対してただただ感謝したいです。素晴らしい道を歩くことができて、私の魂、根性は、粗塩でもみたくっていただいたからこそ得たものが大きいと思っています」
かづゑさんは、手足に後遺症を負いながらも料理や買い物をこなし、78歳の時にはパソコンも習得したそうです。
(映画「かづゑ的」監督/熊谷博子さん)
「かづゑさんに会って元気と勇気をいただいたし、『できるんよ、やろうと思えば』というのがかづゑさんの口癖で、生きる力、諦めない力、『できるんよ』ということを皆さんに分かっていただければいいと思っています」
(宮﨑かづゑさん)
Q.映画の主人公になると知った時にどう思いましたか?
「何の感情もありません。できた映画に関して大変無関心でして……」
映画「かづゑ的」は、3月15日から岡山市北区の「シネマ・クレール」で、29日からは高松市の「ソレイユ」で公開されます。