海藻が生える場所を増やして「豊かな海」を再生しようと高松市の漁港に新しいタイプの人工魚礁が設置されました。
(記者リポート)
「今回、海に沈める人工魚礁です。3m四方で重さは9tもあります。こうした突起物や穴が潮の流れをコントロールし、稚魚が成育したり海藻が生えたりするのを助けます」
香川大学創造工学部の末永教授がリーダーを務める研究プロジェクトの一環です。国立研究開発法人科学技術振興機構の「共創の場形成支援プログラム」に採択されています。
8日は、高松市庵治町の鎌野漁港でコンクリート製の人工魚礁7基を、深さ約6mの海底に沈めました。
約10年前に別の人工魚礁25基を沈めましたが、今回は消波ブロックを土台にした新しいタイプを海に入れました。
(香川大学創造工学部/末永慶寛 教授)
「今回は環境調和型藻場造成構造物ということで『日常』と『非日常』を使い分けることをコンセプトにしている。『日常』は上の部分で多孔質な構造で海藻を生やす基盤として活用するいわゆる藻場造成、下の部分はかなり重たいブロックで構成されているので『非日常』という意味で災害が起こったときに大きな波が来たときに、波のエネルギーを低減する機能を持たせたハイブリッドな構造物を今回海に沈める」
海藻が育つ場所、「藻場」の衰退や海中の栄養塩類減少の影響などで漁獲量が激減しています。農林水産省の海面漁業生産統計調査によりますと香川県の漁獲量はピークの1972年に約7万300tでしたが、2022年は約1万3000tまで落ち込んでいます。
香川大学の研究プロジェクトでは新しい人工魚礁を設置したことによる海水温への影響や二酸化炭素を吸収するブルーカーボン効果なども調査する方針です。
(香川大学創造工学部/末永慶寛 教授)
「まず豊かな海を取り戻そう、豊かな瀬戸内海を取り戻すことを目的としている。そのためには藻場がないと始まらない。藻場を確実に増やし、稚魚あるいは環境の面でも貢献できる海にしたい」