高松市指定の無形文化財である古式泳法「水任流泳法」。これを伝承する保存会に、高松市の小学6年生が所属しています。伝統を絶やさないために練習に励んでいます。
江戸時代から伝わる古式泳法「水任流泳法」。江戸時代に高松藩の初代藩主・松平頼重が、讃岐が海辺の国であることから藩士に水泳を武芸の1つとして習わせたのが始まりとされています。
1979年に、高松市指定の無形文化財になりました。
泳ぎを伝承している「水任流保存会」のメンバー約20人の中で最年少なのが、高松市の小学6年生、岡田弘善さん(12)。
「入門」から「師範」まで11ある段位のうち、現在は下から4番目の「一級」を持っています。
(岡田弘善さん)
「いろいろな泳ぎがちょっとずつ上達していくところが楽しい」
岡田さんは、3年前父親に誘われて練習に行ったのがきっかけで、入会を決意。現在は毎週日曜日に練習に参加し、親世代以上の仲間と一緒に泳ぎを身に付けています。
(水任流保存会/上東美鈴 師範)
「若い子が全然いないので、うちにとっては貴重な存在です」
2024年8月、岡田さんは、全国に13種類ある古式泳法の泳ぎ手が参加する日本泳法大会に出場。ジュニア男子小学生の部で1位に輝きました。
(岡田弘善さん)
「1位になるとは思っていなかったのでとにかくビックリしました。ウソやろ~って」
水任流には、基本の型が10種類存在します。岡田さんは大会でそのうち2種類を披露して芸術点を競いました。それが……
(岡田弘善さん)
「目浸泳(めつけおよぎ)と左片熨斗泳(ひだりかたのしおよぎ)です」
まず目浸泳は、一体どんな泳ぎなのでしょうか。目浸泳は、水面に顔をつけた状態で、逆の手足を独特なリズムで同時に動かして泳ぐ方法。
(岡田弘善さん)
「(Q.どんなところが難しい?)息を止めるところ」
進むスピードがゆっくりな中、息継ぎなしで泳ぐ必要があります。
左片熨斗泳も見せてもらいました。これは水面に対して横向きになって、下側の足を前上側の足を後ろに開いて手と一緒に水をかいて進む方法です。
(岡田弘善さん)
「顔をちょっとつけるので息がしづらいところが難しいです。ちょっと気を抜くと沈んでいってしまう」
ちなみに、足を前後に開く泳ぎ方は「表煽り」といい、全国13流派でも水任流独自の動きだそうです。
岡田さんは3月23日、高松市に全国の13流派が集まる日本泳法研究会で水任流を披露します。
約380年続く水任流泳法を絶やさないために。岡田さんは、まずは自分の実力アップを目指しています。
(岡田弘善さん)
「後につなげていきたいと思います。今一級なので(まずは)初段になりたいです」